消える“酷道”の面影 改良進む国道421号 トンネルで三重~滋賀の短絡路に変貌
なぜ石榑峠は改良されたのか
「阪神大震災以降、既存の国道を代替あるいは補完するような路線が注目され、そのなかで国道421号は306号、477号より優先して整備されました。(理由としては、三重から)ちょうど滋賀の中央部に出られ、トンネルでパスできる延長も一番長かったことが挙げられます」
国道421号を管理する滋賀県東近江土木事務所の道路計画課はこう話します。トンネルの開通で、国道421号の三重県いなべ市と滋賀県東近江市のあいだは、2時間15分ほどかかっていたのが、約60分に短縮されました。
より広域的に見ると、国道421号は“名古屋市から滋賀県中央部までの最短ルート”の一部と見ることもできます。三重県側では、桑名市内で伊勢湾岸道(湾岸桑名IC)、名四国道(国道23号)、東名阪道(桑名IC)を連絡するとともに、2019年にはいなべ市内で東海環状道の大安ICが開通したことで、そのアクセス路にもなっています。
滋賀県側では名神の八日市ICに接続しており、大安IC~八日市IC間は山越えで50分ほど。名古屋市~八日市IC間をGoogle mapでルート検索すると、名神回りとともに、この東海環状道~国道421号経由のルートも提示されるに至っています。
とはいえ、特に滋賀県側は「大型車のすれ違いが困難な箇所や、急カーブが残っています」と県の担当者は話します。実際に走っても、道がいきなり狭まる箇所がいくつかあり、その向こうで対向の大型車が通過を待ってくれていたシーンもありました。
そうした箇所の改良を少しずつ進めてはいるものの、「まだ大雨や雪に弱いところもあり、安定的な道路になるには道半ば」だと話します。かつての酷道が、本当に見違えるほどの快走路になるには、もう少し時間がかかりそうです。
【了】
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