新幹線開業後も「第三セクター移管を免れた」3つの並行在来線 そのカラクリとは JRのまま残った理由

数字でわかる「JRが手放したくなかった理由」

 では「JRが手放した区間」と「手放さなかった区間」がどれほど違うのか、具体的な数字で見てみましょう。

 まずは北陸新幹線です。並行する信越本線 高崎~直江津間は、先述のとおり「JRのまま存続」「第三セクターに移管」の区間が入り乱れることになりました。それぞれの区間で、2019年度の輸送密度はそれぞれ次のとおりです(各社公表データ、鉄道統計年報等から)。

【JRのまま】高崎~横川(JR東日本) 4348人/日(29.7km)
【三セク移管】軽井沢~篠ノ井(しなの鉄道)6521人/日(65.1km)
【JRのまま】篠ノ井~長野(JR東日本) 27079人/日(9.3km)
【三セク移管】長野~妙高高原(しなの鉄道)3245人/日(37.3km)
【三セク移管】妙高高原~直江津(えちごトキめき鉄道) 2501人/日(37.7km)

 続いて九州新幹線です。

【JRのまま】熊本~八代(JR九州)10514人/日(35.7km)
【三セク移管】八代~川内(肥薩おれんじ鉄道)665人/日(116.9km)
【JRのまま】川内~鹿児島中央(JR九州)7268人/日(49.3km)

 距離に対する利用者は、JR存続区間と三セク移管区間で、数字が雲泥の差となっています。いずれも輸送密度の大きい区間はJRが運行し、小さい区間は分離していることが分かります。経営の厳しい3セクからしたら「ズルい!」と思う話でしょうが、整備新幹線の仕組みが先述の事情で「JRの匙加減」となっているのだから仕方ありません。

【地図】なぜか「JRのまま」残った並行在来線区間

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コメント

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2件のコメント

  1. 篠ノ井〜長野間は特急・貨物の乗り入れがあり、3セク転換した場合料金体系が複雑になることや現在の輸送密度でも赤字路線との分析があることを無視した記事。
    JRが"いいとこどり"しているかのような印象を与える記事だなぁ…

    乗り物ニュースはこの手の変な記事はあまりないイメージだったんだけど…

    • 記事の平均的な質が下がったのは確かだけど、JRが他業種企業並みの金儲けに邁進してるのは事実。
      真犯人は公共交通インフラへケチる国だとは思うけど、銚子電鉄等の頑張りと比べると見劣りしませんか。