謎多き「クーゲルパンツァー」の本当に謎な話 存在自体が信じがたいその正体に迫る

俗に「珍兵器」と呼ばれるものは数あれど、おそらく世界で最も謎に包まれた珍兵器が、1945年に満州でソ連軍により鹵獲されたといわれるドイツ製の「クーゲルパンツァー」でしょう。見た目からしてインパクト大、です。

そもそも「ひとり乗り戦車」という可能性はアリなのか

 ひとり乗りの小型戦車のアイデアは昔からありました。

 第1次世界大戦期、機関銃と鉄条網で守られた敵の塹壕をいかに突破するかで各国は頭を悩ませていました。その試行錯誤のなか、フランスが「ブークリエ・ルラント」、フランス語で「転がる盾」を意味する名前の、ひとり乗り戦車モドキが試作されています。「ブークリエ・ルラント」は「クーゲルパンツァー」よりさらに小型で、中には膝立ちした兵士ひとりがやっと入れる大きさでした。

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WW1でフランス軍が試作したひとり用人力戦車(?)「転がる盾」(画像:Med、CC BY-SA 3.0〈https://bit.ly/3EAzoyO〉、via Wikimedia Commons)。

 実物がパリ国立軍事博物館に所蔵されていますが、実際には戦車といえるようなものではありせん。車輪がついた防弾盾といった代物で、中の人が押して動かす人力駆動車です。小さな隙間から視界を得て分速40mで進めるとされています。

 なお、押すことによって前進はできますが、自力で後退はしにくいので、後ろから引っ張ってもらうためのワイヤーを付ける工夫がなされています。いかにも滑稽ですが、敵の機関銃火を避けることがいかに深刻な問題であったかを物語っています。1915(大正4)年に試作品の試験が行われるものの、フランス軍は審査員全員一致で不採用というオチがついたといわれます。

 世界最初の戦車であるイギリス軍の「マークI」が戦場に登場したのは、その約1年後の1916(大正5)年9月15日のことで、敵弾に耐えて敵戦線を突破する目的の戦車はある意味、「転がる盾」の拡大発展版といえます。

【写真】これで機関銃の前に出たくはないな…仏製「転がる盾」のインテリア

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