飛行機で台風の目へ! 始動7年目 台風の航空機観測プロジェクト 危険の先で何を観る?
民間が中心で行う調査なので予算のやりくりが大変!
こうした観測飛行は実のところ、大学や研究機関などが資金を出し合うかたちで行われています。アメリカの空軍や海洋大気庁のように、公共の機関が飛行機や観測機器を運用しているわけではありません。そのため大型台風が出現したからといって毎回、急行して調査できるようなことはなく、予算がないと観測飛行の飛行機は飛ばせません。
「航空機による観測は今後ますます重要になってきます。しかし予算がかかるため、その確保に私は最大限の努力をしています。そのための国民の皆様の理解がもっと得られればと思っています」(坪木教授)
「調査は来年と再来年も行う予定ですが、そのあとどうなるかは、予算が通るかどうかによるといった状況です。そこは研究機関や大学の先生方にお願いするしかありません」(北原機長)
こうした限られた予算であっても、2021年9月には日本に接近する台風「ミンドゥル(16号)」に接近し、ドロップゾンデ観測システムを用いて観測したほか、その目の中心と壁雲(目を取り囲む壁となる雲)周辺で多数のデータを得るこができたそうです。特に、目と壁雲の詳細な構造を得ることができたのは大きな収穫だったそう。
坪木教授によると、地球温暖化と台風被害を結びけることはデータが足りないので現状ではできないとしていますが、日本周辺の海面水温が上昇していることは観測から示されており、以前より強力な台風が日本列島に直撃するリスクが上がっているのは事実とのことです。日本の防災のためにも、継続して予算がつき、様々な調査に役立てられるといいですね。
【了】
Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
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