発想は「走る機関銃」 これで戦場には出たくない…幻の珍兵器「モータースカウト」

背景にあるのは戦場を一変させた「機関銃の登場」

 19世紀末に登場した機関銃は、「ゲームチェンジャー」といってもよい兵器でした。このころイギリスは世界各地で植民地戦争を戦っており、遅れた武器しか持たない植民地の現地人を相手に絶大な威力を発揮していました。

 マキシム機関銃は、19世紀後半にイギリスで開発されました。1893(明治26)年にローデシア(現在のジンバブエ)で起こった第一次ンデベレ(マタベレ)戦争でイギリス植民地部隊によって使用された際には、わずか4丁でンデベレ族軍5000人を撃退したとされます。もっともこのマキシム機関銃神話も誇張があるようで、どこでも威力を発揮したわけではありません。重くて機動性に欠けるため攻勢には使い難く、配置を間違えるとほとんど役に立たないこともありました。

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市販されていたエンジン付き四輪自転車(AlfvanBeem、CC0、via Wikimedia Commons)。

 そこで、同じく黎明期だったガソリンエンジン付き自動車と組み合わせ、つまり機関銃に機動性を持たせれば、それはすなわち無敵に思えたのでしょう。「モータースカウト」の写真に見るその姿は、貧弱でとても戦闘に耐えられそうもありませんが、しょせん敵は植民地の武装も貧弱な軍勢であり、マキシム機関銃の威力をもってすれば敵を圧倒できるという自信もあったかもしれません。とはいえ1.5馬力で脚漕ぎペダル付きというのではいかにも力不足で、悪路走破性も悪く、兵器として採用されませんでした。

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1件のコメント

  1. マーク1戦車の子孫はともかくモータースカウトの子孫はこじつけでは?