鉄道は業績V字回復、でも戻らない“定期” 2022年の鉄道 明るいニュースはあった?
コロナ禍3年目の2022年。ワクチン接種率の向上や自粛ムードの薄れなどから人流は元に戻りつつあり、JR4社や大手私鉄で業績が回復しました。ただ、毎年のように日本を襲う自然災害への対応も急務に。鉄道業界の1年を振り返ります。
定期外利用はコロナ禍前の8割程度まで回復
2022年の鉄道業界も様々なことがありました。鉄道事業者の経営に大打撃を与えたコロナ禍は3年目に突入。1月から2月にかけての感染第6波、7月から8月にかけての感染第7波、そして足元で増え続ける第8波と依然、終息の気配はありませんが、ワクチン接種が進んだこともあり徐々に日常が戻り始めています。
今年の幕開けとなった年末年始輸送は、JR東日本・JR西日本・JR東海とも概ねコロナ禍前の8割弱の水準まで回復。前年は6割前後だったことを思えば幸先の良いスタートでした。その勢いのまま、新幹線・特急利用を含む定期外利用はコロナ禍前の8割程度の水準まで回復したことで、JR上場4社、大手私鉄は第1四半期、第2四半期決算とも全社が経常黒字となりました。
一方、苦しいのは定期利用です。コロナ禍当初から7~8割の水準で推移しており、通勤各線の混雑率は大幅に低下しています。そしてこれは今後も元に戻りそうにないことから、今年3月に実施されたダイヤ改正では、経営合理化を目的とした朝ラッシュ・夜間帯の減便が目立ちました。
まだまだ油断はできないものの、少しずつアフターコロナの世界が見えてきた印象です。しかし、この3年間のニュースはコロナ一色で、それ以前から鉄道業界が直面していた問題は影に隠れがちでした。
例えば自然災害。3月16日に発生した福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震では、東北新幹線の高架橋が損傷し、走行中の列車が脱線する事故が発生。約1か月後の4月14日まで福島~仙台間が運転を見合わせ、その後もしばらくは減速運転を強いられるなど、大きな影響が出ました。
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