「歩兵戦闘車」はどこへ行く? 各国で失敗続きの次世代歩兵戦闘車開発 独英米の現状

戦車に随伴する歩兵を運び、ある程度の戦闘もこなす「歩兵戦闘車」の次世代車両開発がドイツ、イギリス、アメリカで進められていますが、各国とも足並みを揃えたように捗っていません。それぞれの現状などをまとめました。

問題だらけ! 「故障戦車」と叩かれた「プーマ」の現状

 ドイツの日刊紙「フランクフルター・アルゲマイネ」は2022年12月19日付紙面にて、「ドイツ軍はハイテク高性能車両『プーマ』をNATOの演習に18台そろえることで同盟国やプーチンを驚かせたかったのだろうが全くの裏目になった」と評しました。

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ドイツの次世代歩兵戦闘車「プーマ」。陸自の74式戦車より重い装甲車。(画像:KMW)

 ドイツのウェブメディア「soldat & technik(ソルジャー&テクノロジー)」は、「『プーマ』は最も複雑な陸上戦闘システム」と紹介しています。「プーマ」は「マルダー」と交代するために1995(平成7)年から開発が開始され、2015(平成27)年から配備が開始されたものの故障続きで戦力化できず、メディアから「故障戦車(Pannenpanzer)」と叩かれていました。

「プーマ」の武装は遠隔操作無人砲塔で、車体各所に外部視察用の小型カメラ、モジュラー式増加装甲などの機能を満載し、最大重量は74式戦車よりも重い41tになっています。軍の要求仕様を満たしつつ、ドイツの労働安全衛生法や交通法規にも適合させる規制要件も加わって、設計は難航したといいます。

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「プーマ」の高度なハイテク化を示すように砲塔に配置されたセンサー類(画像:(C) Boevaya mashina)。

 実は今回のNATO演習での全台故障という事案も重大故障は2台のみで、他の16台の故障は軽微なのですが、そうした故障とは別の問題も指摘されており、事態は深刻です。それというのも、スペアパーツ不足、メンテナンス要員不足、運用者の不適格、経験不足、使用計画の不備、仕様に反する使用などが起因して動かせなくなっているというのです。つまり技術だけでなく運用システムの問題です。こうしたドイツ軍の装備稼働率の低さは、以前から指摘されていました。

うるさすぎてテスト中断! イギリス「エイジャックス」

 イギリスでも、歩兵戦闘車「エイジャックス」をめぐって混乱が続いています。「乗り心地は悪すぎるしうるさすぎる。これでは訓練にもならない」などと、テストした部隊の評価は散々です。実際に聴覚障害を起こした兵士が出て、軍のテストは中断しています。

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イギリスで開発されている次世代歩兵戦闘車「エイジャックス」(画像:GDUK)。

 2014(平成26)年9月に6つのバリエーションで589台の「エイジャックス」が35億ポンド(約6100億円、当時)で発注されたのですが、2023年1月現在、配備された車両はいまだ0台です。議会でも問題となっているものの、2022年12月に国防省が発表した「防衛装備計画2022-2032」でもいつ就役するかについての現実的なスケジュールは記載されていません。

【画像】バラエティ豊か アメリカの「次世代歩兵戦闘車」イメージ図を見る

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コメント

4件のコメント

  1. ロシアが、BMPやBTRシリーズを使い続ける理由も、同じかな

  2. エイジャックスの35億ポンドは55億円ではなく5500億円ではないでしょうか。

    • ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。

  3. >>「歩兵を運んで戦える装甲車」

    この文字列の中で歩兵戦闘車が求められていたのは「戦える」という部分です。

    BMPシリーズが配備される前のソビエト軍には、BTR-40やBTR-152といった装甲兵員輸送車が配備されており、上記の2車種にはガンポートが備えられていたので搭乗した歩兵が射撃を行う事も可能であり、両車両ともに水上航行も可能でした。特にBTR-152は、BMPシリーズが配備された後もソ連軍の正式装備であり続けソ連軍から退役したのは90年代に入ってからです、と、このように既にBMPよりも安価で大量に配備可能な装甲兵員輸送車がありましたが、この車両はあくまでも戦場まで兵士を輸送する車両であって戦車と共同で戦闘を行うには脆弱な事はソ連軍も理解していたようです。核戦争及び核兵器使用下での戦場では両車両は戦力になりえないという事が判っていましたので、BTRシリーズはその後BTR-60で密閉型になりBTR-70ではNBC防護装置を装備したり発展している、西側に目を向けると、既にベトナム戦時にアメリカ軍は密閉型のM113が登場しており核戦争下でも兵士を戦場へ送り届ける装甲兵員輸送車としての役割を担っていました。アメリカを中心とした西側諸国の装甲兵員輸送車に戦場で対峙した場合、BTR-152やBTR-40では明らかに攻撃力不足でありこれらの装甲兵員輸送車を戦場で排除するために「戦う」事ができる装甲兵員輸送車を求めた帰結が装甲戦闘車両と言う事がいえるのではないでしょうか。(敵戦車に対しては主力戦車が対応するので)

    兵士を運ぶ装甲車であれば、BTR-152が長くソ連軍で現役であったことからもBMPシリーズでなくともよかった事が伺えます。

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