ウクライナでどう戦う? 「チャレンジャー2」「レオパルト2」「エイブラムス」最強戦車トップ3供与

米英独のMBT供与にフランスも続くか

 M1「エイブラムス」は、1990年代初頭に起きた湾岸戦争や、2003年から2011年にかけて続いたイラク戦争などの戦訓が反映された信頼性の高いMBTですが、最大の特徴はガスタービンエンジンを搭載していることです。

 このエンジンは小型軽量で高出力なうえ、加速性能や登坂能力に優れ信頼性も高いのですが、一方で燃料消費量がきわめて多く、さらに整備方法がMBTに搭載されている一般的なディーゼル・エンジンとは異なるという問題点があります。一時はアメリカ国防総省のシン副報道官が、ウクライナにM1を供与できない理由として、このエンジン問題をあげたこともありました。

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最初にウクライナに対して供与することが明言されたイギリスの「チャレンジャー2」戦車(画像:イギリス国防省)。

 これらに加えて、フランスも「ルクレール」戦車の供与の可能性を否定しないと発表しているので、実現すれば英、米、独、仏という西側主要国のMBTが、ウクライナ軍で揃い踏みとなる可能性もあります。

 そして、これらのMBTがウクライナに供与されれば、すでに供与が決まっているM2ブラッドレーやマルダーといった歩兵戦闘車(IFV)と組んで、戦車と歩兵の足並みを揃えた戦い方(歩戦共同)ができるようになります。つまり、従来のウクライナ軍ではロシア製のMBTとIFVの組み合わせだったものが、西側製のMBTとIFVの組み合わせに変わるということです。

 しかし、当初は西側製MBTとIFVの供与数が限られるため、ベテラン戦車兵を乗せての実戦評価や、運用経験を得るための機甲教導部隊のように運用されるものと思われます。

 また、これらMBTの供与に先んじて、ウクライナへの引き渡しが決まっていたフランスのAMX-10RC装輪戦車駆逐車は、アメリカ製の「ストライカー」装輪装甲車と組んで、装軌式のMBTとIFVの組み合わせよりも高速で移動可能な、“フットワークの軽い” 歩戦共同のチームとして編成されるのではないかと筆者(白石 光:戦史研究家)は考えます。

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