ウクライナでどう戦う? 「チャレンジャー2」「レオパルト2」「エイブラムス」最強戦車トップ3供与
西側戦闘車両で「重」「軽」二種類の機甲部隊を編成か
もし、これら西側製戦闘車両のウクライナ供与が順調に進み、前述したような西側製MBTとIFVを組み合わせた「重機甲部隊」と、AMX-10RCと「ストライカー」を組み合わせた「軽機甲部隊」が運用できるようになれば、従来のロシア製MBTとIFVの「ロシア式重機甲部隊」と合わせて、ウクライナ軍はきわめて柔軟性に富んだ機甲戦を遂行できるようになるでしょう。
まず攻勢に際しては、足の速い「軽機甲部隊」が敵の戦線の弱点を探り出し、そこを「重機甲部隊」が突破する。あるいは、「重機甲部隊」が切り崩した戦線の間隙を「軽機甲部隊」がすり抜けて、敵の戦線の背後で暴れ回る、といった運用が考えられます。
また防戦の場合は、「軽機甲部隊」が「火消し役」として敵の圧力が高まっている地点に急行し一時的に支え、後続の「重機甲部隊」が完全に穴を塞いで、場合によっては、そこからさらに反攻するといった形を採ることが可能です。
ウクライナで使われているロシア製MBTやIFVと比べると、前出の「チャンレンジャー2」「レオパルト2」、M1「エイブラムス」、M2「ブラッドレー」などは明らかに高性能です。ただ、懸念すべきポイントは「台数」です。地上戦はマスの勝負であり、どれほど高性能な戦車でも、数に劣れば活躍できないことは歴史が証明しています。
ゆえに今年2~3月に予想されているロシア軍の大攻勢への対応も含めて、第1陣として供給される数に限りがある英米独仏といった西側製のMBTやIFV、装輪装甲戦闘車両を、ウクライナがどう使いこなすかによって、今後の戦況が大きく左右される可能性は否めません。
【了】
Writer: 白石 光(戦史研究家)
東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。
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