なんでそんなに売れる!? F-16戦闘機の半世紀 5000機の大台も目前 その“原初の姿”とは
ひょっとしたら2060年以降も現役の予定
F-16は現在も生産が続いており、最新型のブロック70/72(一部ではF-16Vとも表記)は今年の1月24日に初飛行を達成したばかりです。
ブロック70/72は最新のAPG-83 AESAレーダーやスナイパー照準ポッドを装備し、現在の航空戦で不可欠なデータリンク機能も備えるほか、コックピットには各種センサーが得た情報を表示するために6×8インチ(15×20センチ)の大型ディスプレイも新しく追加されています。
より新しい第5世代戦闘機のF-35A「ライトニングII」が配備された昨今でも、比較的低コストで多用途性に優れた「万能選手」的なF-16の需要は世界中にあるようで、メーカーであるロッキード・マーティンによれば、ブロック70/72は2023年1月末時点ですでに6か国から128機の注文が入っているとのこと。新造されたブロック70/72は1万2000時間の機体寿命があり、少なくとも40年間の運用に耐えるとメーカーは説明しています。そこから推測すると、F-16は2060年以降も世界のどこかで飛び続けている可能性が高そうです。
このようにF-16は、最初のLWF計画の頃と比べると、機体や要求される性能が劇的に変化してきました。正直、ここまで機体改良が加えられ、長寿命機になるとは当時の開発関係者も想像することはできなかったのではないでしょうか。
ちなみに、最初のプロトタイプであるYF-16の72-1567号機は現存しており、現在はバージニア州の博物館「バージニア航空宇宙科学センター」にて展示されています。現地を訪れれば現在のF-16と比べて、やや小ぶりでスリムな「軽戦闘機」として生まれた当初の姿を今でも見ることができます。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
そこそこの価格で性能もそこそこで大量に揃える事ができるというのもこの戦闘機の強みではないかと思います。
F-22の様に輸出は無理絶対にダメだからというような戦闘機の最前にいるような性能が必要になることは、現実的にはほとんど無いという現状を示しているような気がします。
また、F-35のようなステルス戦闘機が必要になるような戦場が多々あるわけでもなく、ならば、そこそこの価格で性能も良く、将来的なアップデートも可能な機体で良いという事になったのではないでしょうか。
未だに中小の国の空軍ではMig-21にアップデートを適用して使い続けていたりしているのは、そこそこの価格で使える兵器だからだと思います。(それでもランニングコストの問題もあり、現在では価格そこそこで性能の良い機体への転換が始まっていますが)