レーダー× 無線も×「闇夜に無言でステルス機へ空中給油」の神業 イラク戦争20年 元米軍兵振り返る

イラク戦争開戦から20年を迎えました。開戦初日にイラク本国を攻撃したのがステルス爆撃機B-2。同機に夜間、空中給油を行った空軍兵士の言によると、無線が使いえないなか、ライトを頼りに行うなど、厳しい状況だったようです。

空中給油機の「ブーマー」なる仕事の中身

 前出の、イラク戦争における開戦初日に、イラクへと赴くB-2ステルス爆撃機に対して空中給油を行ったのが、KC-135空中給油機です。「ストラトタンカー」との愛称を持つ同機のブーマー(給油ブーム操作員)として、各種任務に就いていたのが、アメリカ空軍に20年以上所属していたフィル・ランドラム氏です(現在は空軍を退役)。

 2003年当時、アメリカ空軍のKC-135のブーマーであったフィル氏は、中東地域に派遣されており、偶然にもイラク爆撃に向かうB-2に空中給油する任務を担当することになりました。フィル氏はその当時を振り返って次のように教えてくれました。

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フィル氏が実際に任務で乗ったKC-135R「ストラトタンカー」空中給油機(フィル・ランドラム氏提供)。

 よく知られているように、B-2は高いステルス性を備えているため、レーダーでこの機体を捕えるのは非常に難しいことです。加えて、飛行中には自身の存在を知らせるようなレーダーや無線の使用を制限していますが、これはステルス爆撃機に給油する空中給油機にも当てはまることなんだそう。このため空中給油でB-2とKC-135が接近するときも、お互いが無線交信を行うことはできず、そういった場合はあらかじめ申し伝えた時間を基準にするのだといいます。そのため、彼がB-2に給油した際も沈黙のなか、行われました。

「私たちのKC-135が中東地域で空中給油をした時、現地の時間帯は夜でした。当時は月も出ていなかったためまっ暗で、私たちの乗機も存在を知られないようにすべての灯りを消した状態で飛んでいました」

 航空自衛隊が現在運用しているKC-767やKC-46といった空中給油機もブームを装備していますが、その操作はテレビモニターを通じた遠隔操作となっています。それに対してKC-135は機体下部にあるブーマー席から、捜査員が肉眼で機体後方を注視しながらブームを操作する方式です。

 フィル氏は任務で指定された時間が来ると、空中給油の為にブーマー席へと移動。その時の様子については次のように述べてくれました

「私がブーマー席に移動し、ブームを下げて作業用のスポットライトを付けると、そこには美しいコウモリ翼の爆撃機(B-2)の黒い輪郭が見えました」

 つまり、この時すでにB-2はKC-135を見つけており、無言でその後方に接近して空中給油を待っていたのです。

【写真】KC-135のブーマー席ってどんなとこ? 空自KC-767のブーマー席と見比べ

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