近鉄に白旗のまま? JR奈良線に特急は走らないのか 二大観光地めぐる“方向性の違い”

京都、奈良という二大観光地を結ぶJR奈良線。しかし特急列車の設定はありません。並行する近鉄京都線には多数が設定されているのになぜでしょうか。両社には、観光地アクセスへの考え方の違いがありました。

JRが「まほろば」で一矢報いるか?

 奈良へのアクセスは京都のみならず、大阪からも近鉄が至れり尽くせりのサービスを展開していますが、JRにも有利な点があります。

 それは広大な路線ネットワークです。特に外国人観光客にとっては「ジャパンレールパス」が使えるJRで、国際観光都市である奈良に行けるのは大きなメリットです。

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287系電車3両編成で大阪(うめきたエリア)~奈良間を約1時間で結ぶ臨時特急「まほろば」。途中停車駅は新大阪のみ(画像:JR西日本)。

 JR西日本は2023年3月25日から、大阪(うめきたエリア)~奈良間に臨時特急「まほろば」を土休日に設定。近鉄のターミナルが大阪市南部に位置する難波である一方、北の玄関口である梅田や新大阪駅からノンストップで奈良にアクセスできる点は、大阪府北部からの利用者には十分な選択肢となることでしょう。ちなみに一般列車ならば、大阪駅から大阪環状線・関西本線直通の「大和路快速」が運行されており、奈良へのアクセスは実はJR利用も意外と便利です。

 京都駅からのアクセスは特急列車こそ設定されていませんが、「みやこ路快速」の所要時間は近鉄急行とほぼ互角。車両はクロスシートの221系電車が使われており、サービスレベルでいえば「特別料金不要でクロスシート車両を利用できる」ため、行楽輸送という点では近鉄の一般列車に対してアドバンテージとなるでしょう。

 仮にJR西日本が奈良へのアクセスを改善しサービスアップを果たせば、近鉄もそれに対抗してより良いサービスを打ち出してくるかもしれません。JR西日本の「まほろば」は、そんな可能性も秘めた試金石ともいえるでしょう。

【了】

※一部修正しました(3月27日16時40分)。

※一部修正しました(4月3日15時20分)。

【え…】奈良行きJR特急のルートです

Writer:

出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。

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コメント

4件のコメント

  1. >ただし木津駅止まりの列車はなく、同駅まで来た列車は全てが1駅先の奈良駅まで運行されており、

    木津-平城山-奈良なので2駅先では?

    • 乗りものニュース編集部です。

      このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。

      修正いたしました。

      これからも変わらぬご愛顧を賜りますよう、

      何卒よろしくお願い申し上げます。

  2. 伏見稲荷への最寄り駅稲荷や平等院鳳凰堂の最寄り駅宇治等が有り、途中駅の観光需要も多いので有料列車向きでは無いです。

    221系はトイレが洋式化、バリアフリー化すれば良いと思うがその点は前時代過ぎるかな

  3. <国鉄時代の1967(昭和42)年からわずか2年ほど、名古屋~奈良~東和歌山(現・和歌山)間に特急「あすか」が設定されたのみです。

    「あすか」は1965〜1967年の2年間の運行ですよ。しっかり!