“座席鉄”が選ぶ「JRで快適な特急列車」ベスト5 新幹線の座席超え 前代未聞の巨大空間も
JR東日本E261系プレミアムグリーン席&グリーン個室
東京~伊豆急下田間を走るJR東日本のリゾート特急「サフィール踊り子」は全車グリーン車が特徴です。1+2列のグリーン席のほかに、4人用、6人用のグリーン個室と、プレミアムグリーン席を設けています。
グリーン席は、新幹線E5系とほぼ同じ形状です。フットレストが省略されていますが、非常に快適な座席だと思います。
グリーン個室は、4人用がボックスシート、6人用が窓を向いたソファです。座席はリクライニングしませんが、ソファのクッションが非常に柔らかくて上質であり、グリーン車全体でも最上位の快適性を誇ります。
特に6人用個室は、かつての寝台特急「トワイライトエクスプレス」スイート個室のようなとてつもない広さであり、インテリアもよいことから、占有時の満足感が大きな設備です。
先頭車両「プレミアムグリーン」は1+1列で、かつ座席背面にシェルが付いていることから気兼ねなくリクライニングできるという、新幹線のグランクラスに近い仕様です。ただしシートピッチがやや短く、リクライニングしてレッグレストを出したときに、足置き場の狭い点がやや残念な印象です。新幹線E7系グランクラスの座席を採用すればよかったのに……と思います。
運転席後ろは大きく開放されていますが、仕切りがやや高いので前面展望は楽しみにくいです。デッキとスロープを設けて床全体をかさ上げしていれば、防音効果も増すうえに側窓も広く使え、前面展望も楽しめたでしょう。
JR四国キハ185系「伊予灘ものがたり」フィオーレスイート
最後は“1両まるまる個室”フィオーレスイートを設けたJR四国の観光特急「伊予灘ものがたり」です。松山~伊予大洲・八幡浜間を走ります。
座席は窓向きのソファです。リクライニングはしませんが、なにより2~8名で車両を専有できる特別感と、圧倒的な広さによる解放感、そして専属アテンダントの乗務と、十分すぎるほどに快適。様々なサービスが提供されるほか、食事も専用メニューがあるなど、特別感をこれでもかと詰め込んだ設備です。
風景や食事も素晴らしく、JR特急グリーン車の頂点といえましょう。“1両まるまる個室”はほかに、超高額なクルーズトレイン「トワイライトエクスプレス瑞風」の「ザ・スイート」のみですが、「伊予灘ものがたり」ならグリーン個室料金2万8000円(運賃など別)で占有できます。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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