35年経て明かされた米軍の対テロ「極秘暗殺ミッション」 敵地攻撃たった12分 しかし相手を怒らせた
作戦遂行のため大西洋横断した訓練も
F-111は可変翼を備えた戦闘爆撃機で、低空での高速侵攻能力、航続力、兵器搭載量、全天候飛行能力など、すべての点で「エルドラド・キャニオン」作戦に最適な機種でした。そして投入する機種が決まると、作戦の立案を前にアメリカ空軍は1985年10月、イギリスのアッパー・ヘイフォード基地に駐留する第20戦闘航空団のF-111と、同じくイギリスのミルデンホール基地に駐留するKC-135空中給油機を使用して、長距離爆撃訓練をスタートさせます。
この訓練は、イギリスの基地を離陸したF-111が空中給油を受けながら大西洋を横断し、カナダ東部のグースベイ空軍基地周辺に広がる演習場に500ポンド訓練弾を投下してイギリスの基地へ帰投するというものでした。
この長距離渡洋の爆撃訓練で得られたノウハウを反映してリビア攻撃作戦が立案されました。リビア攻撃にはミルデンホール基地のKC-135と、レイクンヒース基地に所在する第48戦闘航空団のF-111が参加することになりました。
ただ、計画当初はスペインとフランスから領空通過の承諾が得られることを想定していたものの、最終的には両国ともそれを許可しませんでした。そのため、大西洋上を飛行してジブラルタル海峡上空から地中海に入る飛行ルートに見直されました。
ゆえに飛行距離は倍増することになり、在イギリスのKC-135だけでは空中給油能力が不十分と考えられたため、アメリカ本土から最新鋭の大型給油機 KC-10が派遣されることになりました。その結果、作戦ではKC-10とKC-135、合わせて28機の給油機が参加しています。
こうして、準備を整えたアメリカ軍に対し、レーガン大統領は1986年4月14日、リビア攻撃作戦の命令を下しました。同日、現地時間の19時イギリスの基地から空中給油機が離陸、続いて24機のF-111と5機のEF-111電子戦機が離陸していきました。
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