米海兵隊がベタ惚れ!「ハリアー」垂直離着陸機のスゴさ 掟破りの採用から半世紀 引退近づく

アメリカ海兵隊における「ハリアーII」の運用が2026年で終わる予定です。英国の原型「ハリアー」を基にアメリカが大幅改良する形で生まれた同機の生い立ちと構造について、改めて振り返ってみました。

排気ノズルだけじゃない、知られざるノズルの位置

 もう1つの重要なメカニズムが、「リアクション・コントロール・システム」と呼ばれる姿勢制御機能です。これは舵面が効かない低速域や静止時においても機体の姿勢を制御する仕組みです。ジェット機では機内の与圧や防氷装置への熱源などの目的でジェットエンジンから圧縮空気の一部を抜き取って使用しています。

 これは抽気(ちゅうき)と呼ばれるものですが、「ハリアー」にはこの抽気で得られる圧縮空気を機首、翼端、尾部のノズルから噴出させることで姿勢を制御するシステムを持っています。機首ノズルはピッチ(機体の縦揺れ、機首の上下動)制御。翼端ノズルはロール(左右の傾き)制御、尾部ノズルはヨ―(機体の左右スライド、機首の左右振り)制御に使用されます。「ハリアー」には尾翼の付け根から後ろに伸びた突起がありますが、その理由はここにノズルが内蔵されているためです。

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1986年8月、アポツフォード空港でデモ飛行するアメリカ海兵隊のAV-8B(細谷泰正撮影)。

 翼幅を拡大した「ハリアーII」では、ロール制御システムのノズル位置も変わったため、リアクション・コントロール・システム全体の研究がNASA(アメリカ航空宇宙局)で行われました。AV-8B開発のためにAV-8Aの胴体にAV-8B主翼と空気取り入れ口を組み合わせた試作機がYAV-8Bとして製作され、NASAでテストが行われました。

 AV-8Bは1983年の部隊配備開始以来、およそ40年にわたりアメリカ海兵隊の近接航空支援の主力として重用されてきましたが、2016年よりF-35Bへの置き換えが始まりました。F-35Bへの転換は順調に進んでおり、2023年4月現在、アメリカ海兵隊におけるAV-8B部隊は2個飛行隊を残すのみとなっています。

 冒頭に記したとおり、アメリカ海兵隊では2026年までにAV-8Bを全機退役させる計画です。世界初のVTOL攻撃機として航空史上に大きな功績を残した「ハリアー」の行く末をしっかり見届けようと思います。

【了】

【迷彩じゃない!】NASAが使った白塗り「ハリアー」ほか

Writer:

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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コメント

1件のコメント

  1. 日本でも岩国の米軍基地はアメリカ海兵隊が駐屯しているのでハリアーIIが居たことがあるよ、今は、同じ垂直離着陸機のF-35Bに替ったけど。

    基地のイベントでは、ハリアーIIが展示してあって排気口の位置等をよく見た記憶があります。

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