『ガンダム』の“スナイパー”型MSとは? 全長18mの巨体が隠れて狙撃…一体どうやって?

寝そべっても戦車より背が高く、隠せない…

 市販されている「ザクII」のプラモデルから、モビルスーツ各部の大きさを割り出してみましょう。寝かせたときの体の高さが5.02m、足の長さが10.3m、腕の長さが8.6m、頭の幅が2.15m、拳の大きさが1.57m、コクピットハッチの幅が70cmでした。やはり大きいです。

 寝かせても、陸上自衛隊の10式戦車(全高2.3m)と比べて倍以上の高さになるので、狙撃ポイントを探すのは、難儀するのではないでしょうか。なお『機動戦士ガンダム サンダーボルト』では、偽装用のフードを付けたり、あの粒子迷彩が施されたりしたモビルスーツも登場しています。

 森林は5mくらいまでの高さが「低木層」、5~10m程度が「亜高木層」、20m程度に達するのが「高木層」と区分けされています。日本ではモチノキや杉、楠などが「高木層」に該当します。そう考えると、モビルスーツを隠せる樹木は限られてくるでしょう。

Large 230417 sogeki 03

拡大画像

あの粒子の影響で精密射撃は難しいため、本体と銃にある複数のセンサーで測距しているのかも。(イラストレーター:亜浪)。

 ちなみに、日本では街灯や道路標識が高さ5m前後ですから、モビルスーツはその3倍以上の高さがあります。こうしたことから、地上では「モビルスーツの存在を隠蔽して精密射撃」というのは、なかなか大変なことです。人間のスナイパーとは異なり、隠蔽はあまり重視されておらず、高性能なセンサーを装備し、狙撃用ライフルで目標を超長距離射撃(アウトレンジ)する機体を「狙撃用」と称して、運用されている、と考えた方がいいかもしれません。

 モビルスーツの多くが頭部などにセンサー類を備えています。これとは別に、射撃武器の多くには照準具(ライフルスコープ)のような形状のセンサーを備えています。恐らくは、「ガンダム世界」でよく用いられるレーダーを無効化するという「ミノフスキー粒子」の影響で電子機器の性能が低下するなか、機体と武器の双方で光学照準によって、目標を捕捉し、計測誤差を減らすために多重化が図られているのでしょう。

 モビルスーツによる狙撃を考察してみましたが、こう考えてみると、現実世界で生身の兵士が行う狙撃とはだいぶ異なるものといえそうです。加えて、「モビルスーツ」なるものを身近なものと比較して考えた場合、想像以上に巨大であると筆者は改めて感じることができました。

【了】

※一部修正しました(4月27日10時50分)。

【狙撃型MSと同じ使い方?】超ロングレンジ兵器 ドイツの80cm列車砲「グスタフ」(写真で見る)

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

4件のコメント

  1. モビルスーツの不条理武装いえばザクと前装式迫撃砲

  2. デュナメスとケルディムを忘れないで😫

  3. なぜミリタリーの項目でアニメのネタを?

  4. モビルスーツで一番不可思議なのは、脚があること!
    ロボットアニメとしては人型兵器として絶対必要なものなのでしょうが、脚を動かす動力やら燃料やらを考えたらガンタンクのようなキャタピラーの方がリアルかと!
    ボトムズのATのように比較的小さくて人工筋肉で動かしてるような設定なら納得するのですが、モビルスーツは油圧とモーターのハイブリッドで駆動してるようなので非常に動力の無駄遣いをしているように思われます!
    それを是非こちらで検証してもらいたいです。m(_ _)m