「鉄道×戦闘機エンジン=最強!」スピード以外の用途とは 米ソが実用化 日本も試作!?

旧ソ連を代表するMiG-15戦闘機のジェットエンジンを鉄道に応用する――こうして出来上がったのが除雪車でした。冬、氷雪に悩まされる鉄路において、高出力かつ高熱のジェットエンジンで除雪。1960年代に生まれたアイデアです。

チェコスロバキアでは、MiGの胴体ママ載せた例も

 ジェットエンジン除雪車のアイデアはソ連だけでなく、カナダやアメリカ、日本でも試行されています。戦闘機のエンジンは小型で大パワーなので好都合でした。ソ連は退役したMiG-15戦闘機のTRD-VK-1エンジンをリサイクルします。貨車にTRDエンジンの排気口を斜め下に向けて取り付け、エンジンの制御は空軍の軍人が行いました。

 実験では噴出ガス温度450度、噴出速度は500m/秒を記録。ほかの機材よりも軽量かつ早く除雪でき、分岐器も除雪できました。しかし燃費は悪く動かすには手間がかかり、駅構内での使用は危険とも判断されました。なおチェコスロバキアでも、MiG-15戦闘機の胴体をほとんどそのまま載せたような除雪車が数両作られています。

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実用化されることはなかった「ジェットトレイン」。ソ連にて(画像:KB3、Public domain、via Wikimedia Commons)。

 日本では国鉄大宮工場が1961(昭和36)年、航空自衛隊から借用したF-86戦闘機用のターボジェットエンジンJ47-GE-27を、トキ15000形貨車に取り付けた除雪車を試作しています。噴出ガス温度は600度、噴出速度は600m/秒。北海道で試験が行われましたが調整が難しく、雪や氷だけでなくバラストや踏切の敷板なども吹き飛ばしてしまい、騒音も大きく日本では実用性がないと判断されました。

 凄まじい騒音というのは空港や基地周辺にいれば分かりそうなものですが、実際に作ってしまうのはそれだけ氷雪との闘いに苦戦していたということでしょうか。そもそも航空自衛隊のF-86戦闘機には、当時のソ連のMiG戦闘機と北の上空で対峙する本来任務がありました。

 広大な豪雪地帯が続き、騒音があまり気にならない環境のソ連やアメリカでは、一時的に使われたようです。鉄路と氷雪の戦いは世界共通であり、ジェットエンジンが普及し始めた1960年代に、同じようなアイデアが各国で試行されたのには興味を引きます。

【了】

【見た目が強烈すぎる!!!】鉄道「ジェット除雪車」の写真

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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