有楽町線「壮大な延伸計画」意外な方向に展開中 八潮以北を先に作ってTX直通!?
「八潮~野田市」ありきの計画 その中身とは
同盟会はすでに、事業化の準備段階として、概略ルートやコスト・便益の試算などを行っています。その報告書は先述のとおり「八潮~野田市」を先行整備することが前提で、もはや「有楽町線の延伸部」とは言えない、完全新規路線のような雰囲気です。内容を見ていきましょう。
八潮駅と野田市駅の間には、7つの中間駅の設置を想定。用地費の低減を図るため、建設が進められている「東埼玉道路」一般部の直上空間を利用し、道路と一体的に整備することが考えられています。JR武蔵野線との交点では、少し西側にルートをずらして「越谷レイクタウン駅の直下に乗換駅を設けるケース」もあります。
八潮駅ではつくばエクスプレス(TX)に接続。そのまま直通させて秋葉原方面に向かうケースと、非直通とする2案が検討されています。直通運転を行う場合、野田市駅から秋葉原駅への所要時間は、現行の51分が33分に短縮されるとしています。
整備にかかる費用は、2020年12月に野田市がまとめた調査報告書によると「TXへ直通運転」の場合は2800億円。開業後34年で黒字転換するとしています。
直通先のTXにはさらに、秋葉原駅から東京駅への延伸計画や、臨海地下鉄と接続させる構想もあります。八潮駅で直通運転が実現すれば、将来的には東京駅・臨海部方面へ乗り換えなしでアクセスできるようになる可能性もあります。
この基礎検討をもとに同盟会では、2021年度から4年がかりで、新たな整備検討調査を実施中。この調査では、答申で言われた「事業性の課題」を克服するための「沿線まちづくり」を検討しており、報告書が完成する2024年度に一定の基本方針を策定する予定です。
さて、期成同盟会から「置いてけぼり」となった都内区間(押上~八潮)や野田市以北。物事が動き出すのは先行整備区間が「開通したあと」になっていきそうです。さらに茨城県西南部まで延伸する場合は、石岡市にある気象庁の「地磁気観測所」への影響を防ぐため、首都圏で一般的な直流電化ではなく、交流電化で整備する必要があり、対応する新たな車両の開発も必須です。こうした点も整備のハードルになることが見込まれるでしょう。
【了】
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