結局「歩兵戦闘車」の役割は 変わる戦車との関係性 紆余曲折を重ねたブラッドレー2後継開発
コロコロ変わる要求仕様
M2ブラッドレーの原型完成は1978(昭和53)年であり、後継車開発プログラムは20年の紆余曲折を経ています。2003(平成15)~2009(平成21)年には兵力近代化構想「フューチャー・コンバット・システム」(FCS)が立ち上がりますが、予算超過と計画遅延でキャンセル。2009~2014(平成26)年には、「グランド・コンバット・ビークル」(GCV)が予算の見直しと複雑すぎる内容でキャンセルされています。2014~2020年には、NGCVプログラムの中で第1次ともいうべきOMFVが立ち上がりますが、入札不調でとん挫します。
こうしている間にもM2ブラッドレーの老朽化は進行し後継問題は待ったなしになっていきます。陸軍は要求仕様と応札条件を緩和して4回目の仕切り直しをし、第2次OMFVがようやく形になってきたのです。
このプログラムに応札していたのは5つのメーカーチームですが、アメリカ陸軍は2023年6月26日にゼネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ(GDLS)のチームとアメリカン・ラインメタル(ARM)のチームを、詳細設計やプロトタイプの製造とテスト段階に進むチームに選定しました。ちなみにGDLSは、NGCVの中の近接戦闘火力(MPF)として制式採用されたM10ブッカーのメーカーです。
キャンセルと再立ち上げを繰り返した要因のひとつが、何度も要求仕様が変わるということです。M2の能力向上型なのか、どの能力向上を重視するのか、新しい機能を付加するのか、そもそも戦車と歩兵戦闘車のような区別が将来も必要なのかなどが議論され、そのこと自体は歩兵戦闘車というカテゴリーの立ち位置がはっきりしていないということの証左かもしれません。
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