戦車は壊されて当たり前!? 西側の車両は安全か ウクライナで浮上する「どこで修理するか」問題

反攻に際し、ウクライナ軍が快進撃かといえばそんなことはないようです。西側諸国から供与された戦車や装甲車は、ロシア軍の地雷原を前に破壊されています。そして損傷した車両のアフターケアも課題となっています。

なぜ西側メディアは安全性を殊更に取り上げるのか

 西側兵器は供与されるだけでなく、損傷した後のアフターフォローが問題になってきています。アメリカ国防総省の関係者によると、修理のためにポーランドへ送られたM2歩兵戦闘車は十数台に満たず、場合によっては修理を待たずに、新たに送られてきた別の車両に乗り換えているといいます。アメリカにはまだ予備保管状態のM2が約2000両もあるそうなので、修理するより新しい車両を送った方が早いというのは、いかにも物量を誇るアメリカらしいやり方です。

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損傷してウクライナの修理工場に運び込まれたM2「ブラッドレー」歩兵戦闘車(画像:ウクライナ マリャル国防次官のテレグラムより)。

 ウクライナ軍が本格的に西側戦車や装甲車を前面に押し出してから2か月が経とうとしていますが、投入された4割が破壊、損傷したという事実は軽視できません。西側戦車や装甲車は安全性が高いとされていますが、まだ現場レベルの証言のひとつであり、今後さらに多くの事例を集めて検証する必要があるでしょう。

 大量投入されている東側製のBMP歩兵戦闘車とは、戦場で使われている数も時間も大きく違うので、単純比較でM2の方が安全であるとは断言できません。BMPやT-72戦車も決して人命を軽視した車両ではないのです。東西兵器は根本的に攻撃力、防御力、機動力から生産・維持コストまでどのようにバランスをとるかの考え方が違うだけです。

 西側メディアが西側戦車や装甲車の安全性を殊更に取り上げるのは、ウクライナ軍兵士の士気を高め、西側の兵器援助は有効だということを強調する意図があることも加味する必要があります。安全な戦場などないのですから。

【了】

【え…】ロシア軍によって破壊された西側車両です

ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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