そのマークをなぜ…!? 初来日のイタリア空軍F-35Aに描かれていた「赤い悪魔」の意味「きっとまた日本に来る」を確信
新たな日伊友好のパッチ
こうした伝統ある部隊章とは別に、今回の来日と前後して、軍服に着用する2つの記念パッチがイタリアと日本の双方で作られました。
まずひとつは、今年の2023年に100周年を迎えたイタリア空軍の創設を記念した濃紺の円形パッチです。このパッチでは、上部に「イタリア空軍100年」と下部に「未来への飛行」のイタリア語の文字が入り、中央には「100」の数字とF-35A戦闘機のシルエットや緑、白、赤のイタリア国旗をあしらったデザインが刺繍されたものでした。そしてこの記念パッチは、来日したイタリア空軍将兵の右腕に着用されていました。
一方、日本では今回のイタリア空軍の来日と共同訓練を記念して新たなパッチが作られました。これはイタリア側を迎える航空自衛隊小松基地が用意したもので、イタリア空軍100周年記念パッチのデザインを取り入れながら、旭日デザインの太陽や石川県花のクロユリ、日本のF-15J戦闘機とイタリアのF-35A戦闘機のシルエットをあしらったデザインに「イタリア空軍」と「日本航空自衛隊」の文字を上下に刺繍した円形パッチでした。この日本製の記念パッチはイタリア空軍将兵にも配られ、現地では整備員からビアバッティ中将まで全員が右腕に着用していました。
こうして両国で作られた記念パッチを着用したイタリア空軍将兵は航空自衛隊との共同訓練を行い、8月9日には小松基地を後にして本国への帰路についています。
今回は、日本より先にF-35A戦闘機の運用を始めたイタリアとの連携を深めることで、航空自衛隊が同機に関するノウハウを吸収した形ですが、将来的には航空自衛隊側もF-35Aを用意し、同一機種どうしの共同訓練も行うものと思われます。
その点では、そういった将来の共同訓練、知見の共有も視野に入れたミッションであったと筆者は考えます。イタリアの軍用機が日本に飛来するのは、これで終わりではないはずです。きっと次の来日時には、また新たな記念パッチが作られて、日本とイタリアの航空部隊の連携や絆が深まって行くことでしょう。
【了】
Writer: 吉川和篤(軍事ライター/イラストレーター)
1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集~チハから新砲塔チハまで~」「第二次大戦のイタリア軍装写真集 」など。
まさしく、空のガンダムだな!