「発艦と着艦を一緒にやりたいの!」なぜ空母は今の形に? 試行錯誤も使えなかった“ひな壇”式

航空母艦(空母)と一般的に呼ばれる艦は、2023年現在としては飛行機またはヘリコプターの発着艦を、「全通式」という1枚の飛行甲板を通して行っています。しかしこの形に至るまでかなりの試行錯誤がありました。

解決策は意外と単純な方法だった

 結局、第二次世界大戦中の空母は、着艦と発艦を同時に行うことは諦め、発艦作業と着艦作業それぞれの時間を設けて、専念することになりました。

 しかしこの状態だと、着艦時にオーバーランなどの事故が生じた場合、飛行甲板前方などに駐機している機体に衝突し飛行甲板が使用不能になる危険が残っていました。さらに戦後になると、ジェット機の配備も考えなければならなくなり、速度上昇によりオーバーラン事故の可能性は高まりました。

 この解決策を考えたのは、空母を生み出したイギリスで、船体後部に斜め飛行甲板の「アングルド・デッキ」を設けることにしたのです。1950年にイギリス海軍のデニス・キャンベル大佐が、後部に角度を変えた甲板を取り付け、発着艦を別にできないかと考えつきます、この方法はまず1952年2月、イギリス海軍のコロッサス級空母「トライアンフ」で試験的に採用され、その後アメリカ海軍のエセックス級空母「アンティータム」を改装し本格的な運用が開始されます。

Large 20230905 01
今の空母の形の原型となっている「アンティータム」(画像:アメリカ海軍)。

 実際に使ってみると、着艦機は斜めの飛行甲板を、発艦機は前方の直線の飛行甲板を利用するため、衝突事故は回避でき、最悪の場合でもその1機だけの損失で済むようになりました。さらに、エレベーターや駐機スペースは着艦動線から外れた部分に設置されるため、飛行甲板作業も容易となり、カタパルトを増備すれば同時発艦機を増加させることもできるなどのメリットも発見され、以降この形が2023年の現在に至るまで、定番の形となりました。

 なお、多段空母はその奇抜な見た目がいいのか、創作物の世界では、宇宙空母として登場したりもしています。

【了】

※一部修正しました(9月5日12時38分)。

【え、どなた!?】最終形の見た目が全然違う多段空母時代の「赤城」と「加賀」(写真)

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  2. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  3. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  4. 海自艦がロシア海軍の「超静かな潜水艦」を確認!浮上航行する姿を捉えた画像を防衛省が公開
  5. 都市に迫るロシア軍の「弾道ミサイル」が“空中で木っ端みじん”になる瞬間をウクライナ軍が公開 追尾から撃墜まで詳細に
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  3. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  4. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号