撃破されてもウ軍はベタ褒め? 「チャレンジャー2」戦車は何がいいのか メディアの批判と裏腹の“評価”
英国がウクライナへ供与した「チャレンジャー2」が戦地で撃破されていることが明らかになっています。それでも、ウクライナにとって同戦車への信頼は揺るぎない模様です。実はチャレンジャー2は、歴史的に毀誉褒貶ありました。
イギリス国民が手のひらを反して賞賛「チャレンジャー2」
2023年9月6日、イギリス国防省は同国からウクライナに供与された主力戦車「チャレンジャー2」に初の損害が生じたと発表しました。
インターネット上には9月5日ごろから、ウクライナ南部ザポリージャ州ロボティネ郊外で撮影された、道路脇で炎上するチャレンジャー2と見られる戦車1両の動画が投稿されていました。イギリス国防省はメディアからこの動画に関する質問を受け、ウクライナに供与したチャレンジャー2に損害が生じたことを認めたというわけです。
イギリス国防省も認めているのですから、ウクライナに供与されたチャレンジャー2が撃破されたのは事実なわけですが、ウクライナ軍の将兵はチャレンジャー2を高く評価しているようで、9月6日付の「ニューズウィーク」(Web版)は、「この戦車の強みは(砲の)射程が長く、とても正確なところだ。チャレンジャー2は長距離攻撃で力を発揮するよう作られたマシンだ」という、ウクライナ軍のチャレンジャー2操縦士の談話を紹介しています。
そもそもチャレンジャー2は1983年にイギリス陸軍に就役した「チャレンジャー」(チャレンジャー2の就役後チャレンジャー1に改称)の改良型です。現在に至るまで、その評価には毀誉褒貶がありました。
先代にあたるチャレンジャー1はNATO(北大西洋条約機構)が主催する戦車競技会などでは成績がふるわず、イギリス国内ではチャレンジャーを導入した政府の責任問題にまで発展しました。
イギリス陸軍はこうした批判的な世論を甘受しながら、チャレンジャーが優れた戦車であると信じて改良と訓練を重ねました。その結果、1991年に起こった湾岸戦争において、チャレンジャーはイラク軍戦車300両以上を破壊して自らは損害ゼロという、戦車戦史上まれに見るパーフェクト・ゲームを演じます。
これにより、戦車競技会の時には散々批判していたイギリス国民は手のひらを返して、凱旋したチャレンジャーをイギリスの誇りであると賞賛したと伝えられています。
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