段ボール製ドローンで戦果!? ウ軍の高コスパ兵器は有望か幻想か 長所は「チープすぎること」

同様の事例は過去、日本にも

 最新技術にローテクでチープな手段で対抗したことが功を奏した例はほかにもあります。太平洋戦争の際、旧日本海軍が運用した九三式中間練習機、別名「赤とんぼ」です。旧日本軍は練習機を目立つように橙色に塗装していましたので、九三式に限らず練習機はその見た目から「赤とんぼ」と呼ばれていました。

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「赤とんぼ」こと九三式中間練習機(作者不明Unknown author, Public domain, via Wikimedia Commons)。

 太平洋戦争末期、敗色濃厚な日本は現代でも自爆攻撃の代名詞として使われるまでなっている「神風特別攻撃隊」を編成します。いわゆる特攻です。飛べる飛行機は枯渇しており、複葉羽布張りの「赤とんぼ」まで特攻に駆り出されます。

 これに250kg爆弾を積めば飛ぶのもやっとという状態で、常識では戦果は期待できないはずですが、1945(昭和20)年7月、7機の「赤とんぼ」による夜間特攻で、アメリカ海軍の駆逐艦を1隻撃沈、1隻大破、2隻小破という戦果を挙げています。当時の特攻の命中率としては驚異的でした。

 アメリカ海軍はその要因を以下のように分析しています。

・羽布張りの機体はレーダーに映りにくく探知距離が短い。
・飛行速度150km/h程度の低速では、レーダー員が飛行機なのか何なのか判断に迷った。
・発見が遅れ、接近されすぎて対処時間が短かった上、頼みだった対空砲火のVT信管が、通常の機体なら半径約30mで作動するところ、「赤とんぼ」では約9mでしか作動せず効果が薄かった。
・20mm機関砲では、エンジンやタンクといった金属部分に命中しないと信管が作動せずに貫通してしまい効果が薄い。「赤とんぼ」は非常に機動性が高く、巧みに操縦されていた。

 ゆえにアメリカ軍はその後、高速の新鋭機だけでなく、低速の固定脚複葉機にも警戒しなければならなくなります。

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