クリミアのロシア拠点に大損害「ストーム・シャドウ」とは? 西側の巡航ミサイルなにがスゴい?

実はステルス性もある

 ただ「ストーム・シャドウ」は最大速度マッハ0.8と亜音速のミサイルであるため、敵の対空網に引っかかれば比較的容易に撃墜できるとされているものの、発射されたミサイルはレーダーを回避するため下降し、かなり低空を飛行することが特徴。またステルス性能もあり、レーダーの視認性も低いとみられています。

 そして、航空機から発射できるのが「ストーム・シャドウ」最大の魅力です。しかも母機のレーダーで誘導する必要のない撃ちっぱなしの「ファイア&フォーゲット」ミサイルであるため、撃った後は敵に追撃が来る前に離脱することができます。

 さらに、ユーロファイター「タイフーン」や「ラファール」など、西側陣営のマルチロール機を持っていなかったウクライナ軍でも、短期間のうちにSu-24Mから同ミサイルを発射できる能力を付与しているところからすると、簡易的な改造でも十分に発射可能になることがうかがえます。

「ストーム・シャドウ」の使用の詳細に関して、ウクライナ国防省は明らかにしていませんが、イギリスが供与を発表した2023年5月11日の数日後には、ルハンスク攻撃に使用されたほか、6月22日のクリミア北部と本土側のヘルソン州を結ぶチョンガル橋攻撃にも使用されたとみられています。

 同ミサイルは2011年のリビア内戦では、40発弱が発射され、97%が目標破壊に成功したといわれています。今回のロシアとの戦いでは防空網の厚さが違うため、これほど高い成功率は誇っていませんが、クリミア半島では前述のように、潜水艦と揚陸艦が損害を受けたほか、本来半島を守るはずだったS-400対空ミサイルも標的となり、撃破されているようです。

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「ストーム・シャドウ」を搭載したSu-24M(画像:ウクライナ空軍)。

 こうした、一連の攻撃が全て「ストーム・シャドウ」で行われているわけではないと思われますが、ウクライナ空軍のユリー・イフナット報道官は「防空システムが強固なはずのクリミアでも西側の巡航ミサイルには対処できない。ミサイルは迎撃されたものもあるが、こうして目標に到達している」と「ストーム・シャドウ」などの巡航ミサイルを用いた攻撃の有効性を強調しています。

【了】

※一部修正しました(9月28日11時28分)。

【え…サイン入りミサイル!?】「ストーム・シャドウ」搭載機を視察するゼレンスキー大統領(写真)

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