『ガンダム』の宇宙服なぜあんなにペラペラ? ぶ厚くなくて大丈夫? その設定が“合理的”である理由

アメリカ太平洋戦争中に対Gスーツ実用化済み

 飛行服に、積極的な戦力向上効果が付与されたのは、1941年のこと。それまで、戦闘機の宙返りや旋回時に強い加速度(G)の影響で、パイロットが失神することが問題視されていました。

 トロント大学のフランクスにより開発された対Gスーツは、脚部を水の圧力で圧迫し、Gにより血液が下肢に集中するのを防ぐ効果がありました。

 同年に太平洋戦争が始まると、アメリカ軍はこうした原理を発展させた空気膨張式の対Gスーツを1944年に実用化。これにより、大半のパイロットが8Gに耐えられるようになります。対する日本軍はここまで効果的な対G装備を持つことができなかったため、以後は戦闘機の性能差以上に不利な状況となりました。

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未来の人から見れば、現代の宇宙服は驚くほどの骨董品だろう(イラストレーター:ハムシマ)。

『ガンダム』のノーマルスーツは、こうした対G機能と与圧服が発展した宇宙服としての機能の双方を併せ持つパイロットスーツであり、装着すると戦闘が有利になるからこそ地上でも着用されるのでしょう。

 ちなみに、スペースシャトルなどで使われていた船外作業用の宇宙服は、1着1000万ドル(約15億円)もしたそうです。

 これは宇宙服だけで宇宙空間の行動能力を維持する必要性からです。たとえばスペースシャトルの船外作業服は宇宙線を防ぎ、酸素供給システムや、尿採集装置(服を脱げないため)、スーツ内飲料パック、バッテリー、温度調整装置など、様々な機器が搭載されており、重さも100kgを超えています。

 なお、アメリカの宇宙開発企業スペースXでは、2017年に船内用の宇宙服として軽装宇宙服を発表しました。これはかなり軽そうですが、宇宙服に必要な圧力テストはクリアしているとのことで、現実でも軽装宇宙服は実現しつつあるとも言えます。

【これ着てガンダム操縦は無理!】ヘンテコな形 アメリカが開発した初期の宇宙服(写真)

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コメント

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1件のコメント

  1. パイロットスーツ云々よりもいっそう、パイロット自体を無くせば!あれだけ高性能だったら自立ロボットも可能のばす!!人的損害も無くなるし。スーツも無くせるし。