『ガンダム』の宇宙服なぜあんなにペラペラ? ぶ厚くなくて大丈夫? その設定が“合理的”である理由
軽装なのは定番設定「ミノフスキー粒子」のおかげ?
『ガンダム』でも、宇宙艦艇の乗組員などは「重装型」と呼ばれる様々な機器が付いた宇宙服を身に着ける描写があります。そのため、ノーマルスーツは「軽装型宇宙服」になります。つまり、スペースXの宇宙服と同じ方向性で、最低限の生存機能だけを備え、動きやすさを最優先した宇宙服なのでしょう。
実際、クライマックスといえる「ア・バオア・クーの戦い」の最中、低重力下とはいえ、主要な登場人物である「アムロ」と「シャア」はフェンシングで対決しています。それを見る限り、動きづらさは全く感じられません。
通信機能はヘルメットに備えているようですが、一部のスーツには酸素タンクすらも付けていないように見えます。これでは宇宙空間に放り出されたら、すぐ生存が脅かされそうです。こうなっている理由ですが、『ガンダム』世界の定番設定「ミノフスキー粒子」の存在が大きいのではないでしょうか。
「ミノフスキー粒子」とは、レーダーを妨害し、ビーム兵器にも応用可能な架空の粒子です。これが散布された中で戦おうとすると有視界戦闘になる世界なので、数十km以内という非常に狭い範囲で戦闘が行われます。モビルスーツが撃破されて爆発した場合は、宇宙服の性能など関係ないため、ノーマルスーツ着用が必要となるのは「乗機は撃破されて行動不能だけど、パイロットは生存している」状況でしょう。
この場合、パイロットはすぐ近くにいる敵か味方に回収されるので、ノーマルスーツは宇宙線を防ぎ、短時間の生存維持ができる機能さえあればいいわけです。そしてモビルスーツのコクピット内は酸素が充填されています。つまり、酸素タンクがノーマルスーツ側になくても、パイロット周辺に酸素がある可能性もそれなりにあるわけです。
『ガンダム』はモビルスーツが操縦性能の差で撃破される描写も多々ある世界観ですから、ノーマルスーツが重装になるのは、操縦しにくくなるので非合理ということなのでしょう。こうして改めて考察してみると、世界観に合致した合理的な描写だと筆者(安藤昌季:乗りものライター)は感じました。
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Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
パイロットスーツ云々よりもいっそう、パイロット自体を無くせば!あれだけ高性能だったら自立ロボットも可能のばす!!人的損害も無くなるし。スーツも無くせるし。