なぜJR横須賀線は“遠回り”? 品川~横浜で最短ルートを通らないワケ

JRの品川~横浜間は東海道線でも横須賀線でも移動できます。しかし後者は、川崎駅を通らない代わりに武蔵小杉方面へ迂回します。なぜ東海道線のように最短経路を通らないのでしょうか。

3km長くて6分余計にかかる

 地図を眺めていると、品川~横浜間でJR横須賀線が遠回りしていることに気づきます。JR東海道線が川崎駅(川崎市幸区)を経由し最短経路で横浜駅へ向かうのに対し、横須賀線は品川駅から西へ進路をとり、武蔵小杉駅(同・中原区)を経由するのです。下り方面、大船駅(神奈川県鎌倉市)から並走してきた東海道線の視点で見ると、鶴見駅(横浜市鶴見区)で別れ品川駅で再び合流する形です。なぜ、東海道線のように最短経路をとらないのでしょうか。

 

 とはいえ1980(昭和55)年10月まで横須賀線は、東京~大船間で東海道線の線路を走行していました。特に東京~横浜間は停車駅も同じ。現在の視点では意外かもしれませんが、川崎駅にも停車していたのです。

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JR横須賀線は品川~横浜間で、矢印で示したように遠回りする(国土地理院の地図を加工)。

 ただ時代が下り、東京への通勤圏が郊外へ広がっていくと、当時の国鉄は利便性向上のため列車を増発。しかしこれには限界があり、東海道線のダイヤには余裕がなくなっていきます。川崎駅では朝ラッシュ時、利用者が多すぎ乗降に時間を要すとの理由で、東海道線の列車を通過させていたほどです。

 ただし1978(昭和53)年10月の時刻表を見ると、朝ラッシュ時における品川~横浜間の所要時間は、東海道線も横須賀線も同じ約20分。待避線のない川崎駅では、停車する横須賀線の後続で、東海道線はノロノロ運転だったのかもしれません。

 そこで東海道線のキャパオーバーを解消すべく、1980年10月のダイヤ改正で横須賀線の列車を貨物線へ迂回させることになりました。経路は東海道貨物線の品川~横浜間(品鶴線)です。こうすることで余裕のできた東海道線は増発できたほか、所要時間も短縮しています。

 同時に横須賀線は、東京~品川間でも新設された地下トンネルへ移行し、総武快速線との直通運転を開始。横須賀線は東海道線と完全分離され、現在に至る運転系統となったのです。

 2023年11月現在、品川~横浜間の所要時間を比較すると、東海道線が約16分なのに対し横須賀線は約22分。距離も約3km横須賀線の方が長いです。途中駅は、東海道線が川崎のみであるのに対し、横須賀線は西大井、武蔵小杉、新川崎の3駅あります。

 横須賀線のルートには、今や湘南新宿ラインや相鉄線直通列車も走行します。貨物専用線だったところへ旅客列車を通すことで、東京圏の人の流れを変化させた好例といえるでしょう。

【了】

横須賀線の新型車両にも継承された「不思議なスイッチ」とは(写真)

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