“スマートな攻撃”アピールまで 活発なイスラエル空軍/全く飛ばないロシア空軍 なぜこうも対照的なのか
ロシア空軍の活動が低調な真の意味は?
仮に航空攻撃がベストと判断された場合でも、新たに作戦を立案する必要はなく、すでに上空待機するF-15やF-16戦闘機に対してネットワークを通じ攻撃目標をアップデートし、パイロットはコンピューター上の指示に従い指定された地点へ誘導爆弾を投下するだけで、情報収集から数分以内に任意の目標を破壊できるといわれています。
ちなみに攻撃手段は戦闘機に限りません。艦艇や野戦砲など様々な部隊が同一のネットワークへ加入しており、そのなかで最適な手段が選択されます。ただし誘導兵器を使用しない場合の精度は市街地のブロック単位が限度となり精密攻撃とはなりません。
イスラエル空軍とロシア空軍は相手の防空網のレベル、そして戦域の広さが全く異なるため、そのまま比較することはできませんが、ロシア空軍ではこのような作戦が不可能です。ロシア空軍は2010年頃から一気に機種更新を行ったため、多くの戦闘機は非常に高性能ですが、こういう本当に必要とされる能力を持たないことが欠点であるといえるでしょう。
もしロシア空軍にイスラエル空軍と同等の作戦能力があったなら、ウクライナはもっと苦しい状況だったに違いありません。ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから間もなく2年になろうとしています。地上戦の苦戦をよそにロシア空軍は戦力を温存していますが、一部情報によるとこの低調な動きの裏で空軍の近代化を図ろうとしているのでは、との観測もあるようです。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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