「伊豆路の特急」なぜ特別? 戦前の“特急並み”準急から現行「踊り子」までを振り返る

「サロンエクスプレス東京」辺りから豪華路線へ

 1985(昭和60)年、定期の「踊り子」は185系に統一されたものの、臨時「踊り子」には14系特急用客車や、14系を改造した欧風客車「サロンエクスプレス東京」を使った「サロンエクスプレス踊り子」も設定されるなど、観光路線らしいにぎわいを見せます。

 なお伊豆急行が1986(昭和61)年より、展望席や窓向き座席を備えた2100系電車「リゾート21」を運行し、大好況を博していました。このため1988(昭和63)年より、2100系による臨時快速「リゾートライナー21」が東京~伊豆急下田間で設定され、すぐに特急「リゾート踊り子」に格上げされます。

「リゾート踊り子」には新型の「アルファリゾート21」も使われ、超豪華グリーン車「ロイヤルボックス」も連結するなど人気を集めますが、「アルファリゾート21」がレストラン列車「ロイヤルエクスプレス」に改造された2016(平成28)年に廃止されます。

 そして1990(平成2)年、新宿・池袋・東京~伊豆急下田間で、新型251系電車による特急「スーパービュー踊り子」が運行開始します。251系は展望席やグリーン個室、食事も提供されるグリーン車専用ラウンジ、超大窓の普通車、子ども室など、豪華で多彩な設備で人気を博しました。

 そこから長く、伊豆方面の特急列車には185系と251系の併用が続きますが、2012(平成24)年より特急「成田エクスプレス」で使われていたE259系電車が、臨時特急「マリンエクスプレス踊り子」として運行されます。「スーパービュー踊り子」「マリンエクスプレス踊り子」は、2020年まで運行されました。

 この年、新たな伊豆方面の看板車両となったのは、新型E261系電車の「サフィール踊り子」です。E261系は全車グリーン車で、実質食堂車のカフェテリアも連結。グリーン車以上の「プレミアムグリーン」「グリーン個室」もある超豪華仕様です。

 また同時に185系の一部が、中央本線の特急「かいじ」に使われたE257系電車2000・2500番台に置き換えられます。E257系デビュー時には、半室グリーン車の普通車部分もグリーン車に改造されて話題となりました。

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「スーパービュー踊り子」に使われた251系電車。展望席を備えた(2016年10月、安藤昌季撮影)。

 2024年1月現在は、E261系「サフィール踊り子」とE257系「踊り子」の2本立てですが、「踊り子」になってからでも、合計11車種(機関車含めず)が投入された人気列車です。今後はどのようなサービスが展開されていくでしょうか。

【了】

国鉄時代の「踊り子」、0系新幹線と並ぶ(写真)

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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