『ゴジラ-1.0』の重要ロケ地「国内最大級の戦争遺構」とは? “滑走路のない航空基地”で奇跡的に残る“鳩ぽっぽ” 跡

滑走路がない海軍航空基地って?

 霞ヶ浦の南側に位置した鹿島海軍航空隊基地(当時)では、かつて水上機の操縦訓練が実施されており、太平洋戦争の末期には特攻隊員の養成まで行われていました。

 今も残る同基地の施設配置図を見ると、水上機の訓練基地として使いやすいよう霞ヶ浦に突き出た角地に作られており、逆さL字の形で10個の水上機用の航空機格納庫が、その前には湖に入るための滑走台(スロープ)が設けられています。また、角度が取りやすいよう角地の先端には、水上機の射出機(カタパルト)も設置されていたことが確認できました。

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鹿島海軍航空隊の司令部があった本庁舎。戦前・戦中様式の縦長窓のある鉄筋コンクリート製の3階建ての建物で、ツタに覆われていてもしっかりと残っている(吉川和篤撮影)。

 しかし水上機の実習訓練施設であったため、陸海軍の航空基地には通常あった陸上滑走路は施設配置図には見あたりません。これは鹿島海軍航空隊基地の特徴と言えるでしょう。

 また航空機格納庫は戦後、全て壊されたため現在は残っていませんが、その前のコンクリート製の滑走台(スロープ)は水上バイクの積み降ろし用として現在も利用されています(現在はインターネットによる事前予約制)。ほかにも、水上機移送用の自動車を収容するために建設された、ふたつの車庫のうちのひとつが今も残されています。

 この車庫は、来訪者が最初に訪れる駐車場横にほぼ完全な形で残されており、内部には鹿島海軍航空隊跡の受付事務所や売店、喫茶や軽食販売店、飲食スペースなどが設置されています。

 なお、ここも以前から映画やTVドラマのロケ地として活用されており、筆者(吉川和篤:軍事ライター/イラストレーター)が以前に監修したスペシャルドラマ『潜水艦カッペリーニ号の冒険』でも用いられ、捕虜収容所の内部が再現されていました。また『ゴジラ-1.0』では局地戦闘機「震電」の格納庫にもなり、内部も外観も映画に登場しています。

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