名神「地獄の大雪立ち往生」なぜ繰り返された? “躊躇なく通行止め”できず19時間 “スタッドレスだけじゃダメ!”訴えも

国道側でもスタックしまくりでした。

名神関ヶ原で地獄の大規模滞留 NEXCOが再発防止へ

 NEXCO中日本は2024年2月1日、先月24日から25日にかけての大雪で、名神高速にて発生した大規模な車両滞留について、詳細と再発防止策をとりまとめました。同社はこの事案について陳謝し、「名神のみならず、同様の事象を二度と発生させることなく、人命を最優先とした気象急変時の緊急的なオペレーションを確立し、安全・安心な高速道路を確保します」としています。

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名神の車両滞留に巻き込まれた利用者への物資支援の様子(画像:NEXCO中日本)。

 今回は関ヶ原ICの前後にて、下り線は約700台、上り線は約500台が巻き込まれる車両滞留が発生。最初に滞留が発生した下り線は、IC付近での大型車のスタックがきっかけで、その発生時刻から滞留解消まで約19時間を要しました。その間、NEXCOのスタッフのみならず岐阜県の職員も参加した食糧や燃料などの物資配布、自衛隊300人も参加した人力での除雪が行われました。

 下り線で最初のスタック車両を認知した時点で、速やかに通行止めは行われたものの、車両滞留が拡大したのは、天候の急変によって雪が強まり、通行が困難となったことが原因とみられています。上下線の通行止め後、関ヶ原ICから出ようとするクルマも強い雪で視界を奪われ、上り線でもICを先頭とした滞留に発展しています。

 この周辺では、2023年2月にも新名神で大規模な車両滞留が発生しています。これを踏まえ、「予防的通行止め」の適用基準に達しない場合でも、「躊躇なく通行止めを実施する」という防止策が打ち出されていました。しかし、今回はそれがなされませんでした。

 事前の降雪予測の段階では、「予防的通行止め」の適用基準に達せず未実施だったことから、取りまとめでは「降雪予測を大幅に超える気象急変に迅速に対応することができなかった」とされています。また、「予防的通行止めの判断は、降雪予測を踏まえた基準を用いているが、実況降雪量に基づく通行止め基準が無い」とも。「気象急変に伴う強降雪をあらかじめ想定したうえで、関係機関との調整をおこない、通行止め区間や上下線の同時通行止めを想定する必要があった」との反省が綴られています。

 今回の事象を受け、NEXCO中日本はオペレーションの標準化などを早期に実施するほか、スタック車両の発生を防止・発見するためのハード対策、滞留車両救出ルートの増設、通行止め基準の見直しなどを検討するとしています。

国道でもスタックしまくり 原因は?

 一方、今回は近畿圏の国道でもトラックのスタックが相次いでいます。国土交通省 近畿地方整備局は1月26日、管理する直轄国道で発生・救助したスタック車両は12台で、すべてスタッドレスタイヤは装着していたものの、うち7台(約6割)が「チェーンを携行していませんでした」と発表。1台はけん引装置も付いていなかったそうです。

 近畿地方整備局は次のように呼びかけています。

「スタック車両は、除雪車でのけん引や、除雪作業員の人力除雪で救助せざるを得ないため、本来の道路の除雪作業に影響が出ています。大雪の際はチェーンの携行と早期装着をお願いします。なお、けん引装置がない場合、救助に更に多くの時間がかかり、他の道路利用者にも大きな迷惑がかかりますので、けん引装置の装着もお願いします」

【了】

【こうしてみんな動けなくなった】これが「車両滞留」につながった地獄の雪です(写真)

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