戦艦「高松」…そんな戦艦あったっけ? アメリカが“誤認”した旧日本海軍の艦艇 どこまで正確だった?

戦争とは情報戦でもあります。公的資料に書かれている「敵国の軍備」も正確なものとは限りません。中には存在しないものを「存在している」としたものも。太平洋戦争を例に、「実際には存在しない軍艦たち」について解説します。

空母にもフシギな艦名が…

 空母についても1938(昭和13)年の『ジェーン年鑑』で、蒼龍型空母3番艦「KOURYU」(こうりゅう)が建造されているとの記載が見られます。しかし「こうりゅう」なる空母は実在しません。

 アメリカ海軍も、蒼龍型空母として「蒼龍」「飛龍」「こうりゅう」が就役しているとみなし、全長244mの新型空母として計画されたという記述もあります。さらに翌年には、この3番艦は「翔鶴」(しょうかく)であるとされ、情報の錯綜がうかがえます。結果的に「こうりゅう」は、1942年6月のミッドウェー海戦後にアメリカ軍が入手した情報で、その名前がないことから「存在しない」とされました。

 なお『ジェーン年鑑』では、蒼龍型が「1万トン程度の小型空母」(実際には基準排水量1万5900トンの中型空母)と記載されていたため、実際の「蒼龍」を攻撃した搭乗員の一部は「自分たちが攻撃した日本空母は小型艦ではないので、大型空母の『加賀』に違いない」と主張したようです。

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1941年12月、真珠湾へ向け発進準備中の零式艦上戦闘機(ゼロ戦)。空母「翔鶴」の艦上とされる(画像:アメリカ海軍)。

 翔鶴型空母についても、蒼龍型3番艦と見なされただけでなく、1939(昭和14)年の進水時には、艦名が「かけづる」「かでくる」と間違えて認識されています。なお性能についても、基準排水量1万7000トン、全長243.8m、搭載機数45機、速力30ノット(55.6km/h)とされており、実際(基準排水量2万5675トン、全長257.5m、搭載機数72機、速力34ノット〈62.9km/h〉)とはかけ離れていました。

 ちなみに「かけづる」が訛った「かでくる」が、存在しない秩父型装甲艦で「翔鶴」とは別に扱われている資料もあり、情報の不正確さが分かります。

【存在しない戦艦「高松」】同型艦とされたのは…?(写真)

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