たった5日で建造中止!アメリカ「幻の超巨大空母」 “自国軍に撃沈された”と言われるワケは?
建造開始からわずか5日後に計画中止!
「ユナイテッド・ステーツ」は、甲板上に艦橋などの建造物を一切置かない「フラッシュデッキ」と呼ばれる飛行甲板を採用し、12~18機の大型爆撃機を発艦させる核爆撃機の母艦になるべく計画されました。当初はまだソ連が核実験を成功させる前でしたが、近い将来に成功させるだろうと予想されており、そうした核の脅威に対抗する必要があったのです。
発進には4つのカタパルトが使用され、ふたつは船首に、他の2つは甲板の外端に配置されました。当時、船体後部に斜めの飛行甲板を置き発艦・着艦を同時に行う「アングルド・デッキ」は誕生していません。そのかわりに「ユナイテッド・ステーツ」では、広めにとった後部飛行甲板に航空機を着陸させると同時に、カタパルトから航空機を発進できる設計が考えられていました。
同艦は1949年4月18日からバージニア州ニューポートニューズにあるニューポートニューズ造船所で建造が開始されます。建造費用は現在の貨幣価値で2700億円ほどと推測されています。通常動力の空母としてはかなりの価格です。
しかし、そのわずか5日後の4月23日に建造中止の命令が下ります。海軍に対し、陸軍および空軍からの強い反対があったからです。
この頃空軍では、新型の戦略爆撃機であるB-36の配備を進めていました。同機はB-29倍以上の爆弾を搭載でき、当時開発中だった水爆の搭載機としても有効と見られていた一方、「ユナイテッド・ステーツ」は予算の無駄と判断されたのです。こういった経緯もあり、同艦は「アメリカ空軍が撃沈した唯一の空母」とも言われています。
ただその後、空母の核搭載も実現します。核爆弾の小型化や艦載機の能力向上などもあり、1950年にミッドウェイ級航空母艦の2番艦である「フランクリン・D・ルーズベルト」に実装されました。また、大型空母というプランも1951年7月にフォレスタル級空母として復活し、その後、原子炉を動力化することで、「ユナイテッド・ステーツ」を超える大型空母建造の道も開けることとなりました。
【了】
Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
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