現存唯一の最強戦闘機「疾風」“ウワサ話”はガセだった! 文化財としての状態調査に密着 “新発見”も続々!?
ファンの風説がウワサでしかないことを確認!
知覧特攻平和会館の「疾風」は、厳密には四式戦闘機一型と呼ばれるタイプで、型式名は「キ84-I甲」、製造番号は1446号機です。
もともとは、大戦中にアメリカ軍がフィリピンで鹵獲(ろかく)したもので、当時彼の地に展開していた旧日本陸軍の飛行第11戦隊で使用されていた機体でした。
同機は鹵獲(ろかく)後、オーストラリアやアメリカ本土で各種テストに用いられた後、戦後に里帰りを果たします。そして群馬県の富士重工(旧中島飛行機/現SUBARU)で保管されたり、京都にあった嵐山美術館(当時)で展示されたりといった経緯を経て、陸軍特別攻撃隊員の資料を保存・展示する知覧特攻平和会館が同機を購入。1997(平成9)年2月よりここで展示が始まり、現在に至っています。
アメリカから里帰りした当初こそ、米プレーン・オブ・フェイム航空博物館長であったエド・マロニー氏の手により飛行可能な状態に復元されていましたが、その後の保管状態により今では飛行できない状態になっています。
ただ、長年展示してきたなかで、新たな保存の取り組みとしての状態調査がスタートします。経年による金属の腐食や劣化などの現状と共に、1446号と称される機体の真正性を確認するためのものでした。
その結果、日本軍機研究家であり修復作業にも詳しい中村泰三氏を始めとして、航空機エンジン専門家の面々とともに日本航空協会や東京文化財研究所のスタッフの人たちも加わり、2017(平成29)年1月より1回目の調査が開始されます。
初年度はエンジン部のカウルやその後方の点検パネルの取り外しから始め、2023年2月に実施された7回目の調査までにはシリンダー内部の調査や防錆処理、左右主翼の内部や空戦フラップの調査、配管の確認や保全処置、またオイルタンクに作動オイルを注入して循環する確認も行われました。
機体番号に関しては調査の結果、カウル内部や機体構造部材の刻印から製造番号1446号で間違いないというのが確認されました。また、かねてより移送のために主翼を切断したなどとファンの間でまことしやかに流布していた噂も、ファイバースコープなどを使って行われた主翼の内部調査において、先端(未調査)以外は主桁が切断された痕跡もなく、ただの風説であったことが判明しています。
ちなみに、1973(昭和48)年に国内で最後に飛行して以降、機体の状態は概ね良好に保たれていて、かつ多くのオリジナル・パーツや機体内部に一部残った塗装、さらには戦時中の修復箇所なども過去7回の調査で確認されたのです。
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