橋崩落でも物流は「なんとかなる」? 日本とも関係深い全米有数の貨物港「封鎖」 影響は巡り巡ってやってくる!?

米ボルチモア港に架かる橋が、貨物船の衝突により崩落しました。出入口をふさがれた港は「首都ワシントンの海の玄関」と呼ばれ、東海岸を代表する貨物港でもありますが、日本への影響はあるのでしょうか。

陸軍工兵部隊も出動させたバイデン大統領

 ただし、日本への直接的な影響は、それほど大きくないのではとの観測が、物流業界では主流のようです。

 理由としては、第一にアメリカが誇る物流インフラの層のぶ厚さです。

 東海岸には、ニューヨーク&ニュージャージーやバーモンドなど、巨大貿易港がいくつもあり、これらがボルチモアの分を十分補完できるからです。

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橋脚に激突して崩れ落ちた橋の下敷きになった大型コンテナ船(画像:米NTSB)。

 第二に、2024年11月に大統領選を控えるバイデン米大統領には、一日でも早く港封鎖を解除して、有権者に「行動力あるリーダー」を印象付けたいという思惑があるからです。

 早々と連邦政府による全面支援を決め、航路復旧に6000万ドル(約90億円)の緊急支援を投じると断言。さらに陸軍工兵部隊を動員し、航路の早期再開を目指しています。

 このため一部では、4週間以内に大型船の航行再開までこぎ着けるのでは、との楽観論も出始めています。

 日本車の輸出については、前述のマツダやスバルの車種の一部で、アメリカの顧客への納品が多少遅れる可能性はあるかもしれません。それでも、日本の自動車産業に対する直接の影響はごく軽微と見てよいでしょう。

 2023年の日本の乗用車輸出台数は約400万台で、うち約170万台が北米向けです。ただし、相当数は西海岸で陸揚げされ、パナマ運河経由で東海岸に向かう分も、ボルチモアだけではなく、複数の港湾に分散して完成車が陸揚げされています。

 日本向けの石炭輸送についても、直接的な影響はあまりないようです。

 アメリカの年間石炭輸出量は2023年で約7400万tですが、これは全世界の石炭輸出量の数%に過ぎません。

 業界関係者の推計では、仮に航路復旧まで6週間かかるとして、この間に輸送できない石炭は約250万tと推計されるものの、世界の流通量を考えれば、小数点以下のレベル、とのことです。

 また、石炭は貯蔵コストがかからず、数か月分を蓄えるのが一般的です。世界中で産出され、また調達も容易なため、仮にボストンからの石炭供給が1年間滞ったとしても、日本が「石炭不足で発電できない」という事態に陥ることはなさそうです。

【地図】「首都ワシントンの海の玄関」ボルチモア港の位置を地図で見る

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