「後方へ撃てない戦艦」そもそもなぜ考案? 大和型でも検討された主砲の前部集中配置 実戦投入したら「ヤバ…」

主砲塔の配置を見ると、大和型戦艦やアイオワ級戦艦、長門型戦艦やビスマルク級戦艦とは異なり、ネルソン級戦艦やリシュリュー級戦艦は前部に集中しています。なぜこのように配置され、そして普及しなかったのでしょうか。

浮き彫りになった問題点の数々

 ネルソン級戦艦は基準排水量3万3500t、406mm3連装砲塔3基9門(前甲板集中配置)、23ノット(43km/h)の性能ですが、弾薬庫部の舷側装甲は356mm傾斜、水平装甲は159mmありました。常備排水量3万3800tの長門型戦艦が、410mm連装砲塔4基8門、26.5ノット(49km/h)、舷側装甲305mm(299mm説も)、水平装甲70+75mmですから、徹底した集中防御を採用したネルソン級が防御力では上でした。

 性能では「最強」のネルソン級ですが、問題点も多々ありました。弾薬庫部分の装甲は厚いものの装甲防御範囲が狭く、主砲配置が悪影響して水中防御も弱いこと、特異な船型ゆえ運動性能が劣悪、といった具合です。

 特に運動性は、「問題を起こさぬよう、泊地への入港は最後にする」と配慮されるほどで、タンカー並みでした。主砲塔の集中配備も、後方に向けて発砲した場合、艦の上部構造物や甲板を破損しかねないとして、平時には艦後方への主砲発砲が禁止され、軍令部から「この主砲配置の戦艦は以後なし」と要望されたほどでした。

 ネルソン級は各国に影響を与え、大和型戦艦でも主砲塔集中配置が検討されていますが、結局は通常型が採用されています。

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アメリカ海軍に残る戦艦「大和」の見取図。主砲は甲板の前後部に分散配置。なお竣工時のもののため、艦橋左右に副砲の15.5cm3連装砲塔が描かれている(画像:アメリカ海軍)。

 続いて主砲塔前部集中を行ったのは、フランスが1937(昭和12)年より就役させたダンケルク級戦艦です。基準排水量2万6500t、33cm4連装砲塔2基8門、最大31.5ノット(58.3km/h)の高速戦艦でした。舷側装甲は225+16mm(傾斜)、水平装甲は125+15mmで、排水量から考えると重防御です。

 基準排水量を拡大した2番艦「ストラスブール」ではさらに、舷側装甲が283mm+16mm傾斜となり、36cm砲に対抗できる重防御となっていました。

 ダンケルク級で前部集中配置を採用したのは、既存フランス戦艦では捕捉困難な高速性能を持つ、ドイツのポケット戦艦(280mm砲6門、26ノット〈48.1km/h〉)を追撃するためでした。

【写真】なんと日本にも! 主砲が「前部集中」の重巡とは

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