駅で買えない&大会でもほぼ見かけない 広島「幻の駅弁」とは? 歴史は120年!

時間が経つとさらに旨味が増す!?

 ただ、あなごの不漁や伝統製法へのこだわりがあり大量生産できないため、駅弁大会に出品することが非常に少なく、「幻の駅弁」として駅弁ファンに愛されています。筆者(安藤昌季:乗りものライター)は仕事柄、全国で駅弁を食べますが、「うえの」の「あなごめし」は全国でも最上のものだと思います。

 ちなみに「あなごめし」は宮島口駅構内では売られておらず、少し離れた「うえの」の店舗で販売しています。お店で料理も提供されていますが、駅弁としての「あなごめし」は格別です。

 通常の駅弁は作ってすぐに食べないと味が落ちるものですが、「あなごめし」は作ってから2時間ほどおくと、あなごのかば焼きの旨味を、あなごの骨から取った出汁で炊いた味付け飯が吸い取り、味に深みが増すのです。数時間が経過していても、蓋を開けた瞬間に香ばしいあなごの風味が広がり、食べると複雑玄妙なタレとご飯の味に心が奪われます。まざりっけのないあなごのうまさを追求した、完成された味だと思います。レギュラーで2700円ですが、少しも高いと思わないような美味でした。

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宮島口桟橋~宮島桟橋間を結ぶJR西日本宮島フェリーは、世界遺産の厳島神社に立ち寄る(安藤昌季撮影)。

 なお、人気駅弁なので店頭で買えるかどうかは分かりません。「うえの」の店舗で電話やメールで事前予約しておくことをオススメします。販売窓口も1か所のみなので、受け取りに時間がかかってもいいよう、少し長めの滞在時間を見込んでおくと確実でしょう。

【了】

(写真)これが幻の駅弁「あなごめし」時間経つとなお美味い!

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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