「流線形」あまり意味ない? なぜ新幹線は採用し、そして鼻が長くなっていったのか

「流線形」と聞くと、初代新幹線の0系が思い浮かぶでしょう。イメージも相まって「速そう」ですが、そもそもいつ流線形は登場したのでしょうか。0系生みの親である島 秀雄は、日本における流線形採用には懐疑的でした。

航空機に負けるな 国鉄の焦り

 鉄道車両メーカーのブリル社は1930(昭和5)年、流線形車両の模型で風洞実験を行い、通常の車両に比べ100km/h走行時に40%の出力を節約できると報告。翌年にはウェスティングハウス社も風洞実験を行い、流線形機関車が2両の客車を牽いて120km/hで走行する場合、通常の車両より32%の効率化が可能と結論付けています。

 この頃、飛躍的に発展を遂げつつあった航空機でも、木材や布を使用しない全金属製のモノコックボディが主流となり、空気抵抗を意識した滑らかなデザインと、その加工・製造技術も鉄道に影響を与えました。

 象徴的なのは、1930年にドイツで誕生した「麗しのツェッペリン号」です。鉛筆のように尖った車体の後部に航空機用エンジンを搭載し、プロペラ推進する車両で、本線上の走行試験で瞬間的ながら最高速度265km/hを記録しました。

 突拍子もない実験の背景には、旅客機の発展を目の当たりにしたドイツ国鉄の、最高速度150km/h以上で運行しなければ対抗できないとの危機感がありました。プロペラ推進の車両はさすがに無理だったものの、ディーゼル電気動車「フリーゲンダー・ハンブルガー(空飛ぶハンブルグ人)」が開発されました。

 流麗なデザインの2両編成の車両は、1933(昭和8)年にハンブルグ~ベルリン間で運行を開始し、最高営業速度160km/hを実現。流線形デザインが実用と装飾を兼ね備えると証明したことで、各地に最高速度120~150km/hで走行可能な流線形車両が誕生します。

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国鉄52形。在来線の流線形だ(画像:PIXTA)。

 では日本はこのブームをどのように受け止めたのでしょうか。国有鉄道を代表する車両設計者である島 秀雄は後年、『鉄道ピクトリアル』で「当時の日本の鉄道車両では流線形にしても工学的に効果は望めないし、経済性も上がらないと、最初から解っていました」と述べています。

 日本の特急列車はせいぜい100km/hで、アメリカやヨーロッパの速度域とは大きな差がありました。それでも「上層部の希望でやった」として「流線形の流の字もいわば、流行の流といったところでしょうか」と振り返ります。

【スゲー見た目!!】流線形の鉄道車両に「ジェットエンジン」くっつけてみた(写真)

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