日本人を「電車大好き」にさせた張本人!? 「湘南電車」何が画期的だったのか 緑&橙ツートンの元祖

外観だけじゃない 中身も斬新

 80系電車の設計を主導したのは、戦前にD51形やC57形、C11形など、現在も動態保存される蒸気機関車の多くを設計した島 秀雄です。

 80系で画期的だったのは、これまで電車では短い編成が原則で、運転台とモーターが両方ついた「制御電動車」が中心だったのに対し、運転台のある先頭車(制御車)とモーターのある中間車(電動車)に分ける中間電動車方式を採用し、1両あたりのコストを削減した点です。また、これにより長い編成を組む際、従来であれば中間に挟まった制御電動車の運転台部分が無駄になるのを防ぐことができました。

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「湘南形」の前面デザインを有する国鉄EF58形電気機関車(咲村珠樹撮影)。

 走行性能の面では、終戦直後の1946(昭和21)年に島が中心となって発足した、電車用の高速台車を設計する研究会での知見が活用されました。これにより、高速で走行しても振動の少ない台車が実現し、乗り心地を向上することができたのです。走行装置こそ現代の電車で主流のカルダン駆動ではなく旧来の吊り掛け駆動でしたが、逆にこれまでの電車で培ってきた技術の集大成ともいえるものになりました。

 内装も客車同様に両端のドア部分と客室部分が隔てられた形式を採用し、客車列車からの「格落ち」感が少ないように配慮されました。シートは向かい合わせのボックスシート(クロスシート)を基本とし、乗り降りの多い両端部は通路幅を確保できるロングシートになっています。

 外観上の大きな特徴となったのは、オレンジ(黄かん色)とダークグリーン(緑2号)のツートンカラーです。これまでの電車がチョコレート色(ぶどう色1号/2号)を基本としていたのに対し、カラフルで軽快な印象となりました。のちにこの配色は、鉄道ファンの間で「湘南色」と呼ばれるようになり、各地の電車でも採用されていきました。

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