各国の“魔改造”戦艦たち 最も原形を留めていないのは!? 装甲マシマシ「新型に勝る」は本当か?
計画で終わった最大の魔改造とは
そのほか水平装甲も換装し、機関部は新造時の30mmから80mmへ、弾薬庫は100mmの均質装甲へ換装しました。
副砲と高角砲も全て撤去し、砲塔式の12cm連装砲6基12門と10cm連装高角砲4基8門(カブール級)、13.5cm3連装砲4基12門と9cm単装高角砲10基10門(ドゥイリオ級)に強化艦容が全く異なるという意味で、最大の魔改造戦艦といえるでしょう。
なお、実行されなかった魔改造計画で最も規模が大きいのは、ソ連の「ガングート」級戦艦「ミハイル・フルンゼ」の改装計画でしょう。これは艦首を延長したうえに艦橋と2番主砲塔を移設して、前部主砲塔配置を背負い式に改めるというものでした。砲塔位置の移動と背負い式化は、ほかに例を見ません。3番主砲塔も撤去し機関を増設し、速力23.4ノット(約43.3km/h)を27~30ノット(約50~55.6km/h)に引き上げるという大規模改装でした。結果的に財政難で実行されませんでした。
戦艦の改装は予算と工期がかかるため、改装が間に合わずに戦争に突入した事例も多数ありました。それでも時代にあった性能を得られた上記の戦艦たちは、ある意味幸運といえるでしょう。しかしイタリアのように、新造とほぼ同じ改装費をかけても性能は不足したという事例もあり、後付け改造の限界を示しているともいえるでしょう。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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