「線路残しておいてよかった」“途切れた臨港鉄道”奇跡の再活用なるか 「皆さん鉄道使えるなら使いたい」
大災害が起きた際の補完ルートにも
新潟県では2024年現在、この新潟東港専用線を再び活用し、コンテナターミナルへ鉄道が直接乗り入れる「新潟東港オン・ドック・レール構想」を掲げています。
同県は東港CTとJR貨物の鉄道ネットワークが結ばれることにより、コンテナ貨物の定時輸送が可能になるだけでなく、大規模災害時の補完ルートとして太平洋側港湾のリダンダンシー(冗長性、余剰などの意)機能強化にもつながるとしています。
この構想を実現するため、旧藤寄駅から西ふ頭方面に伸びる線路を再整備し、東港CTでコンテナを貨車に載せられるようにすることを目指しているそうです。
新潟港湾・空港整備事務所 企画調整課の内生蔵 一樹課長は「船で直接入ってきたコンテナを直接貨車に乗せて出せるため、そのぶん費用は(トラック輸送を挟むより)かなり安くなると思っている」と話します。
今回の実証試験では輸送時間やリードタイム、輸送コスト、温室効果ガス(GHG)排出量、労働環境といった点で検証を実施しました。
具体的には、
1、各貨物ターミナル駅での荷役時間や新潟貨物ターミナルと旧藤寄駅での機関車付替時間
2、輸送費用、輸送時間にかかる費用等の算出
3、輸送ルート、形態によるGHG排出量の机上計算、
4、従来ルート(陸上車両)と試験ルート(鉄道使用)におけるドライバー拘束時間の比較
などといったことを行っています。
今回の実証を受け、前出の内生蔵課長は、「2024年問題は皆さん大きく捉えられており、そうした中で鉄道を使えるなら使いたいという思いはある。ただ、施設全体の老朽化が進んでいる所もあり、運営をどのようにしていくのか、荷物が集まるのかという課題があり、そうした点を解決していく必要がある。もちろん国道113号線との交差部分も大きな課題だ」とも述べていました。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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