「艦」と「船」どっちなの? ふたつの“肩書”を持つ「しらせ」のナゾ 南極調査員を乗せずに出港も!?

南極調査に向かう際に使用する「しらせ」という船があります。この船は文部科学省国立極地研究所の南極地域観測隊の輸送や研究のために建造された船です。自衛隊の砕氷艦とも呼ばれます。ふたつの呼び名があるのはなぜなのでしょうか。

なぜふたつの呼び方があるのか?

 日本が南極調査などに向かう際に使用する「しらせ」という船があります。この船は文部科学省国立極地研究所の南極地域観測隊の輸送や研究のために建造された船です。

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凍った海を進む「しらせ」(画像:海上自衛隊)。

 さてこの「しらせ」という船。実は「南極観測船」と「砕氷艦」というふたつの名称を持っています。これは、どちらかが愛称というわけではなく、どちらも公式の名称です。なぜ、「しらせ」にはこのようにふたつの名前が付けられているのでしょうか。これは「しらせ」の用途と関係しています。

「しらせ」は基準排水量12,650トン、全長138m、最大幅28mという大型の船で、速力は19.5ノット(約36km/h)、巨大な氷の浮かぶ南極の海でも、「チャージング」や「ラミング」と呼ばれる航法で、後退してから、最大出力で氷に乗り上げ砕きながら力強く進むことができるパワフルな船です。

 その主任務は、観測隊の食料や研究機材などを満載し、文部科学省が所管している「国立極地研究所」から派遣された南極地域観測隊の隊員を乗せて、日本と南極にある昭和基地を往復することです。

南極観測隊の隊員たちは、南極の気象観測や潮汐観測から、原生代の地球環境変遷に関する研究や氷床・海氷・海洋の研究、宇宙環境の変動と地球への影響などといった幅広い分野の研究を行っています。その分野のプロたちが南極に設営した基地で、観測や研究を行うために「しらせ」の存在は欠かすことができません。

 しかし、この「しらせ」はあまりにも大型の船であるため、一般の人々では動かすことが難しいものです。もちろん、南極観測のプロフェッショナルといえども、操舵技術をもった人材を研究機関から大量に確保することはできません。そのためこの「しらせ」は、大型艦船の操舵に長けた人材が多くいる海上自衛隊に運用が任されているのです。

 海上自衛隊の横須賀基地を母港とする「しらせ」は、艦長、副長以下、通常の護衛艦となんら変わらない編制の乗組員で運用しています。「しらせ」の格納庫には輸送用ヘリコプターのCH-101が2機搭載されていますが、これも海上自衛隊の航空部隊が運用を任されています。

 ほかに、南極での観測内容により軽多目的ヘリを複数搭載することもありますが、こちらの操縦は民間のパイロットが担当することになります。

【氷を叩き割れ!】これが、凍った海を進む「ラミング」です(写真)

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