次期戦闘機=「目玉飛び出る価格」に!? コスト減につながる“オイルマネーの国”参入 日本は受け入れられる?
このままいけば1機いくらに…?
2024年6月11日、大手航空宇宙防衛メディアの「アビエーション・ウィーク」が、東京で「航空宇宙防衛フォーラム2024」という名称の講演会を開催しました。この講演会で防衛部門についての講演を行った同社のクレイグ・カフリー航空宇宙業界シニアアナリスト(将来予測およびMRO)は、GCAPを含めた第6世代戦闘機の1機あたりの単価について、200億円を超えてしまうのではないか、との見込みを発表しています。
というのも、日本を含めた先進諸国の空軍では、有人航空機と行動を共にする無人航空機「CCA」(Collaborate Combat Aircraft)を組み合わせた運用が主流となり、2050年には現在F-2やユーロファイター・タイフーンなどの戦闘機が12機で行っている任務を、後継する第6世代戦闘機8機とCCA12機で担当することになる見込みだといいます。CCAを統御するGCAPのような第6世代戦闘機は必然的に高性能かつ高額になるのです。
航空自衛隊のF-2A/Bは94機(試作機を除く)製造されていますが、カフリー氏の予想が正しかった場合、GCAPでの日本向けの製造機数は70機程度となります。工業製品のご多分にもれず、戦闘機も製造数が少なくなるほど、1機あたりの単価は上がります。
イギリスとイタリアもそう事情は変わらないはずで、このまま行くと、日英伊の参加国は1機あたり200億円前後の、高額な有人戦闘機を買うことになりかねません。
前に述べたチンゴラーニ氏は共同通信に対して、仮に開発・製造コストが膨張した場合でも、関係国が多ければ吸収できると述べています。
これまでGCAPで開発される有人戦闘機については、性能や日英伊参加国の役割分担といった面がクローズアップされてきましたが、サウジアラビアの加盟も含めて、「コスト」をいかにして抑えるかにも重きを置いて考えていくべきなのかもしれません。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
コメント