迷惑!相席ブロック・直前キャンセル・予約逃げ…バス業界が“無防備”だった歴史的理由 「キャンセル料を上げる」デメリットも

単純に「手数料を上げる」でいいのか?

 これらの路線は直前予約の比率が大きく、キャンセルされた席も再販売されやすいという特徴もあります。直前のキャンセルを除けば、払戻し手数料は110円など安めに設定し、昼行高速バスがもともと追及していた「手軽さ」を維持する方が優先だと考えられます。

 そのうえで、直前(前日や当日)のキャンセルに限り運賃額の20~50%程度の手数料を徴収するのが妥当です。JRバス各社や京王バスなどで、この「折衷型」の導入が進みつつあります。

 ただし、キャンセルではなく便変更であれば、当日であっても手数料は不要でしょう。早い便の空席に変更してもらえれば、後の便に空席が生まれ新たな予約を受けられるという利点もあります。

 これらの路線では、むしろ逆に、乗り遅れた際に機械的に「返金なし」とするのではなく、当日中の後の便に乗車するなら50%程度の手数料を負担してもらうことで変更を認める、くらいの柔軟性も必要だとも考えています。

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刻々とバスが発車するバスタ新宿の時刻表。1本前/1本後の便へ直前で変えるというニーズも高い(乗りものニュース編集部撮影)。

 また、ウェブ上での手じまい時刻(予約、変更、キャンセル期限)は、路線によって異なります。乗車改札時の予約確認を、紙の座席表ではなく車載の電子座席表(タブレット端末)で行っている路線では、手じまい時刻をぎりぎりまで遅くすることができます。「東京都内で用件が終わって、地下鉄でバスタ新宿に向かいながらスマホ上で便を変更して帰宅」という地方在住のリピーターのニーズに寄り添うことこそ重要です。

 なお、過去には、今回の沿岸バスの指摘よりも極端な例ではありましたが、水増し予約を繰り返した人物が偽計業務妨害の疑いで逮捕されたケースもあります。ウェブだと気軽にキャンセルできる一方で、ログ(記録)が全て残っていますから、悪意による架空予約、水増し予約はしないようお願いします。

【了】

【写真】ウソの予約“9000回数以上” 男の末路

Writer: 成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)

1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。新聞、テレビなどでコメント多数。

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