「戦車を発明した国」が戦車廃止へまっしぐら? 抜け出せない“平和ボケ” 欧州新型戦車のゆくえ

フランスとドイツは合弁企業を設立

 ヨーロッパでは、フランスとドイツが主導して次世代欧州標準戦車を目指す「MGCS」(Main Ground Combat System:陸上主力戦闘システム)の開発が進んでおり、2024年6月にパリで開催された兵器展示会「ユーロサトリ2024」では、独仏合弁企業KNDSがMGCSへの3ステップを示しました。

・第1ステップ:実績あるソリューションの活用として「レオパルト2A8」と「ルクレールXLR」
・第2ステップ:今後10年に向けたモジュラーソリューションとして「レオパルト2 ARC 3.0」と「ルクレール・エボリューション」
・第3ステップ:次世代戦車の提案として「EMBT ADT 140」

 これらはあくまでもコンセプトモデルであり、そのまま実現するわけではありませんが、MGCSの具体的成果を可視化してきたことが注目されます。

 対照的に戦車発明国イギリスの影はすっかり薄くなっています。製造ラインを閉鎖して15年が経過し、国産戦車はもうロストテクノロジーとなってしまっているのです。

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チャレンジャー2の延命改修型チャレンジャー3(画像:RBSL)。

 それを象徴するのがチャレンジャー2の改修型「チャレンジャー3」です。NATO内でも唯一のライフル砲などユニークスキルで扱いにくく、旧式化も懸念されたチャレンジャー2の延命計画が2005(平成17)年に立ち上がります。しかし“平和ボケ時代”、予算を削減されるなど消極的でした。

 2014(平成26)年になって、チャレンジャー2を2030年代まで使えるように延命するプログラム(LEP)がようやく始まり、国内メーカーのBAEシステムズとドイツのラインメタルが審査に応募します。審査結果が出た2019年にはBAEとラインメタルは統合してラインメタル・BAEシステムズ・ランド(RBSL)社となっており、このプログラムはドイツとの合弁事業となります。

「ばかでかくて、すごくうるさい」戦車とは(写真を見る)

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