もう新造も修理も無理か!? 裏金に揺れる海自の潜水艦 川崎重工の答えは? 国防と経済の両輪に大打撃か
2024年7月初頭、潜水艦を巡る裏金事件が川崎重工神戸場で起きました。しかも10年以上にわたって行われていたとのこと。その総額はいくらなのか、また何に使われていたのでしょうか。
2社しかないメーカーの1つ
川崎重工業は2024年7月3日、神戸市中央区にある神戸工場の修繕部門が架空取引で捻出した裏金を使い、海上自衛官らに対して金品や物品、飲食などを提供していたと発表しました。
同社広報は「今年2月に大阪国税局から申告漏れの指摘を受けた。特別調査委員会を立ち上げており、内容は後日公表する予定だ」とコメント。追徴税額は2017年から2023年3月期までの6年間で6億円となっています。防衛省は事態を重く見ており、木原 稔防衛大臣が5日の記者会見で特別防衛監察の実施を指示したことを明らかにしています。
関係者は「表ざたに出来ない接待を、表ざたにできないお金で行った」と話します。
川崎重工は三菱重工業と共に海上自衛隊が運用する潜水艦の建造と修繕を担っています。高い静粛性を持つ特殊な船体や、作戦行動を行う上で必要なシステムなどを搭載した潜水艦は機密の塊。そのため国内において新造できる造船所はこの2社しかなく、三菱重工神戸造船所と川崎重工神戸工場が交互に建造を行っています。
潜水艦事業に特化している両ヤードでは修繕も受け入れており、毎年行われる「年次検査」(2~3か月)と3年に1度行われる「定期検査」(10~11か月)を担っています。川重神戸に入渠した潜水艦の乗組員は、同社の宿泊施設「海友館」に滞在。そこから潜水艦へと通勤し、造船所で働く従業員と共同で作業を実施します。
日本の防衛産業は長年小康状態が続いてきました。かかわる会社も少なくなると同時に癒着も顕著になっていたのでしょう。今回の事件を機に汚職を撲滅し、防衛産業の立て直しを図っていただきたいものです。