「車両が足りない?切ってしまえ」 国鉄の名車115系に「食パン顔」のグループがいるワケ いま最後の輝き
まさかの「103系類似の食パン顔」で先頭車化改造!
JR西日本の115系魔改造工事は、まだまだ続きます。
2001(平成13)年7月のダイヤ改正では、伯備線や山陽本線の電化区間でもワンマン運転がスタート。これに合わせ岡山地区配置の115系3両編成の一部を2両編成化する工事を行い、モハ114形からクモハ114形1000番台が生まれました。
ブロック工法ではなかったのは当然として、この時の改造では、115系のアイデンティティのひとつだった貫通扉さえ廃止して、さらに工数を省略。平面顔で額にヘッドライト、下部には尾灯というスタイルは、103系通勤形電車を彷彿とさせました。115系なのに103系に似た食パン顔の魔改造車として、これまた話題を呼びました。
そして2004(平成16)年には、岡山地区の115系4両編成を3両編成化すべくモハ115形が先頭車化改造されましたが、ここではクモハ115形1600番台という車が生まれました。
貫通扉設置・115系に準拠した灯火類配置、というクモハ114形6000番台・6500番台に準じた食パン顔改造ではあるものの、運転台と窓が低い位置に置かれる新たなデザインで出現。電車ファンが沸き立ったのは言うまでもありません。
これら115系の「魔改造先頭車」を含む編成は、片側が115系オリジナルの顔、反対側がまったく違う改造顔で短編成ながらも変化に富んでおり、実に興味深い存在です。
2024年7月現在、113系3800番台は全廃されていますが、クモハ114形6000番台・6500番台はクモハ114形1000番台・1500番台に編入されて下関総合車両所下関支所に、クモハ114形1000番台・クモハ115形1600番台は下関総合車両所岡山電車支所に配置のうえ、山陽本線を中心に活躍しています。
しかし山陽本線の115系も新型車両への置き換えが進んでおり、今後の予断を許さない状況です。115系魔改造車を見たい人は、早めの訪問をオススメします。
なおJR西日本は、近郊形ディーゼルカーのキハ47形を両運転台化してキハ41形を作った際にも、新設運転台を「食パン顔」にしたことがあります。
【了】
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれの自動車・鉄道系イラストレーター/ライター。雑誌、WEB媒体で連載を多く持つ。コピックマーカーで描くアナログイラストを得意とする。クルマは商用車や実用車、鉄道ではナローゲージや貨物、通勤電車、路面電車、地方私鉄などを好む。
食パン顔は食パンを切った断面のようではあるが、車体を切ったわけではない。むしろ切らなかったからできた顔。
だから「「車両が足りない?切ってしまえ」 国鉄の名車115系に「食パン顔」のグループがいるワケ」というタイトルは間違い。