日英伊の「次期戦闘機」の“全貌”ついに現る! うたわれた「実物大」どんな形に? こりゃド迫力だ!
日本、イギリス、イタリアの3か国が共同で進める次期戦闘機の開発計画「GCAP」。この開発機の全貌が「フルスケール大の模型」として明らかになりました。
次期戦闘機の実物大モデル 初登場か?
日本とイギリス、イタリアの3か国が共同で進める次期戦闘機の開発計画「GCAP(Global Combat Air Programme)」。大きな関心を集めるこの戦闘機の最新の“全貌”が2024年7月22日から始まった「ファンボロー(ファーンボロ)航空ショー」で、明らかになりました。英国担当メーカーのBAEシステムズがGACPの今の姿をフルスケール、つまり原寸大の模型で展示したのです。フルスケールの模型公開は初めてと見られ、現地で公開早々に撮影したその姿は迫力に満ちていました。
GCAPの姿については2023年3月、千葉・幕張メッセでの「DSEI Japan」で大型模型が展示されたほか、既にイメージ図も数点公開されています。前回のファンボロー航空ショーでも、3か国での共同開発が発表される前に、「テンペスト」と呼ばれる英国が構想する次世代戦闘機の機首部分が公開されています。
それらに対して公開されたフルスケール模型は、一見したところDSEI Japanで展示された模型と大きく変わったと分かるのは、主翼の後ろ部分の形で、フルスケール模型は後ろの部分の「く」の字型をやめてほぼ完全なデルタ(三角)翼としています。海外メディアはこれを航続距離や兵器搭載量などに重点を置いたため、と観測しています。
GCAPは日本ではF-2、英国ではタイフーン戦闘機の後継機のため、空対空戦闘も地上・艦船攻撃もできるマルチロール性のうち、多くの種類の兵器を搭載する攻撃機としての側面に比重を置いたと見ることができます。
英国側の担当メーカーであるBAEシステムズは、7月に東京で事前に行われた説明会で「設計の最中であり最終的な形状ではないものの、現在考えている要素をある程度反映した形」としていることから、翼の後ろ部分が設計の進展を反映しているとみられています。今回のフルスケール模型の公開により、実際のGCAPの姿にひとつ近づいたと言えるのかもしれません。
ファンボロー航空ショーでフルスケール模型が公開された背景には、航空ショーとして世界最大級であるうえ、GCAPの開発拠点がイギリスに置かれていることが大きいでしょう。
そのうえ、隣国の航空大国フランスは、GCAPと同じ第6世代の戦闘機としてライバルになる「FCAS(将来戦闘航空機システム)」の開発の中心国でもあります。そのような状況下、とくにイギリスにとってこの航空ショーが、GCAPの開発が進んでいることを世界にアピールする場として絶好の機会だったといえるでしょう。
【了】
Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)
さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。
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