蕎麦屋バイクの「出前機」本当にスゴいのか? フードデリバリー配達員が使ってみた結果

出前機の意外な弱点とは

 筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)はライター業の傍らで副業として隙間時間に働けるフードデリバリーの仕事をしているのですが、愛用のスーパーカブ110の荷台に据え付けているのが、マルシン製と同等の機能と性能を持つエビス製の出前機です。

 出前機のメリットは常に荷台が水平に保てることから、ラーメンや蕎麦などを運ぶ際にも汁こぼれがしにくく、容器の中で食品が偏ることがないため、寿司のような繊細な食品でも型崩れが起こしにくいのです。

 また、バッグを背負ったり、バイクの荷台に直接固定したりするのと違い、パッキングにかける手間が少なく、店舗で商品を受け取ったらすぐに出発できます。これは配達時間の短縮につながるので、次々に配達依頼が舞い込む昼時や夕飯時のピークタイムには大きな利点となります。

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筆者が中古で入手したエビス製出前機。構造や機能はマルシン製にほぼ準ずる。これを再塗装して仕事用のカブに装着して使っている(山崎 龍撮影)。

 とはいえ、出前機も欠点がないわけではありません。デメリットとして挙げられるのは、導入コストが高いこと、そして重量物を荷台に積むのでリア荷重となり操縦特性が変化することなどです。

 新品の出前機の定価は8万2000円~15万6000円(いずれもマルシン製出前機の価格。もっとも一般的な荷台付きの「マルシン出前機1型」で9万6000円)と高価なため、専業の配達員でもなかなか手が出しにくいようです。また、出前機の重量は10kg以上もあり、すぐに慣れるとはいえ装着したバイクの運転には少々コツが要ります。

 また、出前機はその構造上、横揺れには強くとも縦揺れには弱いという弱点があります。筆者はカバー抑えアームを外し、フードデリバリー用のバッグを出前機に固定して使っていますが(代わりにデリバリーバッグ付属の仕切り板に重しを載せて容器を固定)、たとえアームを備えていても路面の凹凸が激しいところを走る際には若干の注意が必要です。

 時折、筆者以外にもスーパーカブ+出前機の組み合わせを使っている配達員の姿を街中で見かけることがあります。しかし出前機を使う配達員はまだまだ少数派。使ってみるとなかなか便利な道具ですから、専業でフードデリバリーの仕事をしている人は導入を検討しても良いかもしれません。

【了】

【ラインナップがすごい!】用途に応じて様々、これが出前機の各タイプです(写真)

Writer: 山崎 龍(乗り物系ライター)

自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、カワサキZX-9R、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか

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